陸か海か マセラ鉱区 大統領、週内決断へ 世界最大級のガス田 

 国際石油開発帝石(INPEX)主導のガス田・アラフラ海マセラ鉱区の開発方針をめぐる議論が大詰めを迎えている。リザル・ラムリ海事調整相が天然ガス生産の全てを洋上で行う「フローティング」方式に反対し、陸上建設を主張したことで議論が過熱したが、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は今週中にINPEXら投資家と会い、陸上か海上か方針を示す見込みだ。  

 ジョコウィ大統領は1日、関係閣僚とマセラ鉱区の開発方針について会議を開いた。プラモノ・アヌン内閣官房長官は「世界最大級のガス田になるため、判断を見誤ることはできない。かなりいろいろな見解があり、活発な議論となった」と振り返った。
 洋上方式を推奨していたスディルマン・エネルギー鉱物資源相はマセラ鉱区について「私は陸上、洋上どちらの立場でもない。大統領の決断を待つだけ」と語った。同相によると、ジョコウィ大統領は今週中にマセラ鉱区の主要権益を持つINPEXやオランダ本社のエネルギー会社シェルの幹部と会談する。
 従来マセラ鉱区は、INPEXがフローティング(洋上)LNG方式で開発の準備を進めており、2010年にインドネシア政府から承認を取得。しかし昨年、リザル・ラムリ海事調整相が異議を唱え、陸上での開発方針を主張したため、事業を再検討することになった。
 INPEXの本社広報の担当者は「現時点で陸上になった場合のことは考えていない。昨年9月に提出した改定開発計画の承認を待っている」とした。同社はマセラ鉱区で天然ガスの埋蔵量の増加を確認したため、年産250万トンから750万トン規模の処理能力に引き上げた開発計画を提出している。
 エネルギー鉱物資源省石油ガス総局のウィラトマジャ・プジャ総局長は地元メディアに、陸上に建設する場合、洋上よりも工期が2年ほど遅れると指摘。大規模なガス田のため、工期の遅れは経済損失につながると説明した。
 ジョコウィ大統領は「鉱区の利益が一部の人に集中しないことや、地方経済の活性化につながることを考慮して、投資家と話し合いたい」と語った。

調査結果まちまち
 陸上と洋上の事前調査では研究機関によって結果が異なる。インドネシア大学(UI)などがまとめた資料によると、洋上の方が総工費を抑えられるほか、経済効果も期待できるとした。陸上の場合は洋上よりも雇用が生まれると指摘した。
 一方で、リザル海事調整相の母校であるバンドン工科大学(ITB)の調査では、陸上のほうが経済効果があり、事業費も抑えられると相反する結果を出した。
 昨年末に政府からの依頼で、第3者機関の立場としてコンサルタント会社・ポテン・パートナーズが陸上と洋上双方の事業効果を調査。石油・ガス上流事業監督機関SKKミガスのミガス・バントロ広報局長は調査結果について、「洋上建設が推奨できるのは明らかだ」と報告している。(佐藤拓也)

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