政府保証付与に焦点 大統領が詳細説明へ 高速鉄道でリニ氏反論

 中国とインドネシアの国営企業連合が起工したジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道の建設計画をめぐり、1月発令の大統領令で国家戦略事業に「政府保証を付与する」と明記されたのを受け、当初計画と矛盾が生じると議論が紛糾している。リニ・スマルノ国営企業相は政府による債務保証はないと反論、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は今週中に説明するとしている。

 地方代表議会(DPD)は29日、臨時会議で高速鉄道の事業計画を取り上げ、リニ国営企業相や事業を主導する合弁企業・高速鉄道インドネシア・中国(KCIC)社のハンゴロ・ブディ・ウィリャワン社長と協議した。
 KCICのハンゴロ社長は臨時会議後、地元メディアに「(高速鉄道事業を)規定通り進めるために政府保証を求める」と語った。政府保証については、昨年日本と中国が受注を競い、インドネシアが中国案を採用した際、中国案が政府の財政負担を不要としていたことが決定的な理由となった経緯がある。ジョコウィ大統領も「高速鉄道には、政府の債務保証を付けない」と明言し、中国案採用の意義を強調している。
 ジョコウィ大統領がこのほど国家戦略事業を加速させるために署名した大統領令(2016年第3号)には、財務省による政府保証を付与すると明記されており、高速鉄道も対象となった。この大統領令が、昨年発令された大統領令(2015年第107号)と合致しないと批判が相次いだ。以前の大統領令は、高速鉄道事業を加速するために発令されたもので、政府保証を付与しないと明記されている。
 これに対して、リニ国営企業相は「高速鉄道計画に政府保証を付与しないのは明らかだ」と反論。「KCICが求めている政府保証は、債務の保証ではなく、将来の事業計画への正確さだ」と述べ、「例えば40年の融資契約が、新しい政権に変わったとき、50年に変更するといった議論が浮上した場合、KCICが政府と再度交渉する権利の保有を主張している」と説明し、KCICの求める保証は債務の保証ではなく、インドネシア政府に財政負担を強いるものではないと強調した。
 ソフヤン・ジャリル国家開発計画相は1日、「高速鉄道は大統領令で定められた国家戦略事業だ。これからも事業を加速させることに変わりはない」と優先事業であることを強調。ジョコウィ大統領は高速鉄道に対し批判が相次いでいることを受け、「新たに発令した大統領令を含め、今週中に建設計画の詳細をゼロから説明する場を設ける」とした。
 リニ国営企業相は1日、「明確なデータを示さず、何の根拠もなく(批判され)遺憾だ」と述べ、必要であれば会計検査院(BPK)や金融開発監査院(BPKP)に監査を依頼し、事業の正当性を主張すると訴えた。(佐藤拓也)

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