高速鉄道が起工 見切り発車の声も 環境影響評価 式典直前に承認

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は21日、西ジャワ州西バンドン県チカロンウェタン郡で、中国が受注したジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道の起工式を開いた。総事業費は55億ドル(約77兆ルピア)で、19年の開業を目指す。許認可取得が従来よりも早急に承認されるなど、見切り発車との声もでている。

 ジャカルタとバンドンをつなぐチプララン高速道路の出口をでて、少し車を走らせると、インドネシアと中国の国旗を描いた旗が道路沿いに並んだ。起工式が行われた国営農園第8プルクブナン・ヌサンタラ(PTPN)の農園では、該当部分の木々が伐採され、工事が進んでいることを強調した。
 式には、ジョコウィ大統領やダルミン経済調整相ら関係閣僚、中国からは王勇国務委員らが出席した。事業を主導するリニ国営企業相が上座で王国務委員を迎えた。許認可の最終手続きを進めているジョナン運輸相は欠席した。
 王国務委員は壇上であいさつし、習近平国家主席が東南アジアで初の中国製高速鉄道になると歓迎していると説明し、「高速鉄道は2国間における協力関係深化の象徴だ」と語った。
 ジョコウィ大統領は「政府予算はジャワ島には使いたくない。ジャワ島外に使う」と改めて強調した。事業を仕切る高速鉄道インドネシア・中国社(KCIC)は、インドネシアの国営企業4社と中国企業7社の企業連合で政府予算を使わない方針だ。
 国鉄による当初計画資料では、起工式は昨年11月。許認可や環境への評価結果が発行されず、ずれ込んだ。地元メディアによると起工式前日の20日時点で、許認可取得に必要な環境影響評価(アムダル)の結果がでていなかった。アムダルが着工にかかる最後の許認可として挙げられていた。
 シティ・ヌルバヤ環境林業相は21日、起工式の会場で、建設計画は基準を満たしていると判断したと説明した。起工式のために必要な調査をせず、早急に結論を出したとの見方を否定した。
 環境林業省の担当官はぎりぎりで承認したアムダルに対し、地震などの災害リスクや地下水への影響が考慮されていない可能性があると分析。高速鉄道のような大規模事業では、最低でも6カ月かけてアムダルを検討する必要があるとも指摘した。(佐藤拓也、写真も)

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