サリナ前で爆破テロ 7人死亡、警察と銃撃戦 首謀者はシリア在住か

 14日午前10時45分ごろ、中央ジャカルタ・タムリン通りのスカイラインビルの駐車場やサリナデパート前交差点の警察官詰め所で手製爆弾が爆発、武装集団と警察官が撃ち合いになり、武装集団の5人、カナダ人1人、インドネシア人1人の計7人が死亡、外国人4人を含む24人が重軽傷を負った。日本人の被害は報告されていない。警視庁は、過激派組織イスラミック・ステート(IS)に参加し、シリア滞在中のインドネシア人バフルン・ナイム容疑者がテロを画策した疑いがあると発表した。
 爆発は計7回ほど発生したとみられる。最初の爆発は、スカイラインビル1階にある米コーヒーチェーンのスターバックス前の駐車場であり、車の横で犯行グループの2人がかばんから取り出した手製爆弾が爆発、2人は爆発とともに吹き飛ばされた。
 爆発音が周辺に響き、白煙が上がったため、サリナデパート前の交差点付近にいた警察官が駆け付けようとしたところ、周辺にいた犯行グループが銃撃を開始。交差点にある警察詰め所でも爆発が発生した。
 警察はタムリン通り全車線を封鎖、スカイラインビルの駐車場付近で撃ち合いになった。犯人は周辺からパニックになって飛び出してきた群衆の中に紛れ込み、サリナ前交差点付近で発砲を続け、爆発もスターバックス店内などで断続的に発生した。
 一連の爆発や銃撃でスターバックスの従業員や客のカナダ人ら7人が死亡、オーストリア、オランダ、ドイツ、アルジェリア国籍の外国人4人を含む24人が負傷した。ルフット政治・治安・法務調整相によると実行犯は計5人で、このうち3人は警察官が射殺し、2人は自爆した。爆弾はこれまで国内で発生した大規模な爆弾テロで使用されたものとは異なり、爆発力は弱かったとした。
 ティト・カルナフィアン警視総監は同日、中央ジャカルタの大統領宮殿(イスタナ)でジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領と協議。「テロの首謀者は、2014年以降、シリアでISに参加しているバフルム・ナイム容疑者とみられる」と発表した。
 バフルム容疑者は、オバマ米大統領が10年、就任後初めてインドネシアを訪問する直前に、約500個の銃弾やライフルを不法所持していたとして中部ジャワ州ソロのクリウォン市場で逮捕され、ソロ地裁が禁錮2年半の実刑判決を下した。刑期を終えた後、14年にシリアへ渡航し、ISへ参加したとみられる。
 ティト警視総監は「バフルム容疑者は、東南アジア地域を統括するIS指導者の地位をめぐり、フィリピン南部の過激派組織の指導者と競っていた」と指摘。同容疑者は現在、ISが「首都」としているシリア北部のラッカに滞在していると説明した。
 ジョコウィ大統領は同日夕、ガトット国軍司令官らとサリナ前交差点付近の現場を視察し、「インドネシア国民はテロに屈しない」と強調。プラモノ内閣官房長官はデマに惑わされないよう注意を呼びかけた。
 在インドネシア日本大使館は同日、谷崎泰明・駐インドネシア日本大使を本部長とする対策本部を設置。同日午後1時半から領事窓口を臨時閉館した。ジャカルタ日本人学校(JJS)小中学部・幼稚部は一斉下校の措置を取り、15日を臨時休校・休園にする。(配島克彦)

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