植樹で森林再生へ 大統領が宣言 「世界の肺」取り戻す
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は26日、南カリマンタン州バンジャル県のスルタン・アダム森林公園を訪れ、近年最悪となった火災で焼失した森林の再生を目指す植樹キャンペーンの開始を宣言した。
ジョコウィ大統領は自らスコップを持ち、参加した多くの小学生らと交流しながら植樹活動をした。26日に植樹されたのは2千本。すでに8千本が植樹されており、合計で1万本が植樹された。同森林公園では、森林・泥炭火災により約105ヘクタールが焼失している。
ジョコウィ大統領は「森林の再生でインドネシアは、(酸素と二酸化炭素の循環を促す)世界の肺としての機能を再び取り戻し、生物の多様性も保持していかなければならない」と決意を表明。2016年を植樹の年として火災防止に取り組むと強調し、植樹活動を積極的に進めている企業や大学などを表彰した。
シティ・ヌルバヤ環境林業相は「森林再生の目標面積は550万ヘクタールだが、来年予算は20万ヘクタール分のみ。企業や教育機関と協力して植樹を進めていきたい」と話した。
ことしはエルニーニョ現象による降雨量の減少により、森林・泥炭火災による高温地点(ホットスポット)は計1万2千カ所を超えた。環境団体ワルヒの調べによると、焼失面積は中部カリマンタン州で5600ヘクタール、南スマトラ州は4400ヘクタール、ジャンビ州は2800ヘクタールに達したとみられる。
世界資源研究所(WRI)の報告によると、泥炭火災は二酸化炭素の21倍の温室効果があるメタンを多く排出するため、ことしの温室効果ガスの年間排出量は1997年以降最悪となった。
ジョコウィ大統領は30日から、フランス・パリで始まる国連気候変動枠組み条約第21会締約国会議(COP21)に参加する。森林・泥炭火災の被害状況や発生原因、鎮火方法などを各国首脳に説明するとともに森林再生への決意を表明する予定。(藤本迅)