降り注ぐ光 レンガと石の祈りの場 東ジャワ州クディリ ゴア・マリア・ルルド

 天から降り注ぐ光、聖母マリアが見守る祈りの場――。東ジャワ州クディリから車で約20分のプサランにある「ゴア・マリア・ルルド」。地上から約4メートルの崖の中央にある穴の中にマリア像がたたずんでおり、80年ほど前からカトリック教徒が祈りに訪れる場所となっている。
 フランス南西部、ピレネー山脈の麓に位置する「ルルドの泉」。聖母マリアが出現し不治の病が回復する奇跡の水が湧くとして知られ、世界中からカトリック教徒らを中心に年間約500万人が訪れる。「ゴア・マリア・ルルド」はこの泉から名を取ったとされている。同地周辺で12カ所から湧き出す水も病を治すと信じられているそうで、土産店には持ち帰ることができるよう空のポリタンクが売られている。
■レンガの屋根
 「ゴア・マリア・ルルド」の「ゴア」は洞窟の意味だが、ここに本格的な洞窟はなく、石畳の道や階段、石塔、聖書の内容を記したレリーフ、レンガ造りの建物などが並んでいる。赤茶色のレンガをワイヤーでつないだ屋根からは、十字架の光が降り注ぐ。現在は透明のプラスチック板がはめ込まれているが、建設当初十字架部分は空洞となっていた。
 多くの人が集まる場所として作られた広場の屋根には、十字架のほか、聖人のシンボルを表す聖マルコの「翼を持つライオン」、ヨハネの「ワシ」、マタイの「天使」、ルカの「雄牛」の四つを組み合わせた鳥のような模様もある。
■遺跡がモチーフ
 1936年にロモ・ジャン・ウォルターズという神父が、インドネシアで活躍したオランダ人建築家ヘンリー・マクレーヌ・ポント(1884〜1971)に教会の建設を依頼。ジャワの建築様式と、マジャパヒト王国の中心地だった東ジャワ州モジョクルトにあったトロウラン遺跡をモチーフに建設したという。
 入園料は駐車料金の3000ルピアのみ。同地は近年、観光地として少しずつ知られるようになってきた。国内はもちろん、シンガポールなど海外から訪れる人もおり、観光目的で訪れるムスリムもいるという。
 15軒ほど並ぶ土産店もユニークで、十字架をビーズでつないだネックレスや、聖母マリアやキリスト、天使などをかたどった置物などが所狭しと並び、天井からは大小さまざまな十字架がぶらさがる。
■宗教は共存
 土産店で働くプクジャンさん(44)はクディリ出身のクリスチャン。プクジャンさんによると、同地周辺ではクリスチャンとムスリムの割合は半分ずつで、互いに共存しているという。
 「宗教は違うがみんな平穏に暮らしている。僕はクリスチャンだけれどムスリムの人がここを訪れることは嫌ではないし、宗教の違いはそんなに意識していない」と話した。(毛利春香、写真も)

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