6億人の単一市場へ クアラルンプール宣言採択 ASEAN10カ国首脳が署名

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中など18カ国が参加したASEAN首脳会議がマレーシアのクアラルンプールで21〜22日開かれ、ASEAN加盟10カ国の首脳はASEAN共同体の年内発足を宣言する「クアラルンプール宣言」を採択、域内6億人の単一市場をうたうASEAN共同体の設立を正式に表明した。会期中、ASEAN日本サミットや東アジアサミット(EAS)などが開催された。

 22日のASEAN首脳による「クアラルンプール宣言調印式」で、議長国マレーシアのナジブ首相は、ASEANの歴史を振り返り、紛争終結や貧困脱却に果たした役割を強調。ASEAN共同体は「政治安全保障」「経済」「社会・文化」の3分野から成るとし、「2015年12月31日に設立する」と正式に宣言した。
 ナジブ首相は、共同体の設立でASEANは2030年には世界で4番目に大きい経済圏に成長する潜在力があると強調。調印式では、加盟10カ国の首脳が一列に並び署名し、共同体の10カ年計画「ASEAN共同体ビジョン2025」も採択した。
 ASEAN経済共同体(AEC)では、域内の物品関税で9割以上の品目数が撤廃となっており経済統合に向けた歩みが進んでいる。一方で、ASEANの意思決定では全会一致や内政不干渉を原則にしており、政治安全保障分野での足並みはそろっていないのが現状だ。ASEANは先行する経済統合とともに政治統合も進めて、国際社会での発言力を強めていきたい意向だ。
 21日のASEAN首脳会議では、南シナ海問題や、過激派によるテロへの対応などが話し合われた。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は「地域の安定を促進するために、より深化した統合を実現していかなければならない」と強調。過激派対策での協力促進を訴えた。
 通商分野では、ASEANを含む16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)について、当初目標の年内妥結を断念し、来年中の妥結を目指すとした共同声明を発表した。中国は環太平洋連携協定(TPP)に対抗しRCEPを推進してきたが、TPPに比べ貿易自由化の水準が低く、TPP加盟国や加盟を希望する国と、非加盟国で意見が分かれた形だ。
 会期中にASEANは日中韓や米国、インドなどと首脳会談を実施。ASEANに日米中などを加えた東アジアサミットでは、参加国からASEAN共同体の発足を歓迎する声が寄せられた。2国間の首脳による会談も多数行われ、東南アジアを舞台に活発な外交が展開された。クアラルンプールで藤本迅、佐藤拓也)

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