足並みそろわぬ加盟国 南シナ海問題中国けん制も あすASEAN首脳会議

 マレーシアのクアラルンプールで21日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が開幕する。主要議題の一つは、ASEAN加盟の複数国が中国と領有権を争う「南シナ海問題」。具体的な解決策提示に向けた加盟国の足並みはそろっていないが、これまで中立だったインドネシアが中国をけん制する動きを強めており、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領がどのような立場を表明するのか注目が集まる。
 米軍のイージス駆逐艦が先月、中国が造成した人工島の12カイリ(約22キロ)内で巡視活動をした際には、中国と領有権を争うフィリピンとベトナムが「航行の自由を体現した」と米国を支持。両国は、日米と巡視船の供与や港の使用などで協力関係を深めており、18日には2国間で南シナ海問題を念頭に置いた戦略的パートナーシップ協定を新たに締結。ASEAN首脳会議でも中国をけん制する可能性が高い。
 一方で、今月上旬に開催されたASEAN拡大国防相会議では、共同宣言の採択が初めて見送られた。中国から多額の資金援助を受けているカンボジアなどから南シナ海に言及する宣言文に反対意見が出たほか、同海域での米中の対立を助長したくないとの意向を複数国が示したためだ。マレーシアも米中の間で綱渡りを強いられており、議長国として指導力を発揮できるかには疑問符が付く。
 インドネシアは従来中立の立場を貫いてきたが、ルフット・パンジャイタン政治・法務・治安調整相が11日、中国が権益を主張する「九段線」がリアウ諸島州ナトゥナ諸島に隣接しており、中国漁船が排他的経済水域(EEZ)に侵入しているとして「国際機関への提訴も辞さない」と警告。海軍も警備を強化するなど中国をけん制する動きが強まっている。
 米国は17日、ASEAN諸国の海洋安全保障強化のために2億5900万ドルの拠出を発表。振り分け先には、フィリピン、ベトナムのほかインドネシアも含まれている。足並みがそろわないASEAN加盟国の中、インドネシアがASEAN首脳会談の舞台でも中国をけん制する動きを見せれば他国の動きにも影響を及ぼす可能性がある。(クアラルンプールで藤本迅)

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