国営企業予算を問題視 過大な資金注入 与野党国会議員 リニ大臣に矛先

 国会が30日に承認した2016年国家予算で、国営企業への資金注入予算が過大と問題視されている。国会の与野党議員は予算注入額を継続審議することで合意したが、批判の矛先をリニ・スマルノ国営企業相に向け、内閣改造で解任すべきだと訴えている。 

 来年予算では24の国営企業に40兆ルピアの資金注入予算を充てた。国営企業からの配当額34兆ルピアより多いため、野党グリンドラ党は「国家損失になる」と承認に反対。国家予算案には賛成していたゴルカル党や福祉正義党(PKS)も資金注入予算は過大と批判した。
 政府と国会との交渉の末、来年予算で国営企業に資金を注入する場合は国会第11委員会(金融・開発計画)の承認を得るとして折り合いを付け、予算案は全会一致で可決した。
 予算承認翌日の31日、国会第11委員会のヘンドラワン・スプラティクノ議員(闘争民主党=PDIP)は「国営企業は国の資産。負担になってはいけない」と強調し、リニ氏の国営企業相としての適正を疑問視。解任も「考慮されるべきだ」と述べた。グリンドラ党のファドリ・ゾン国会副議長もこの1年の国営企業の運営に不透明な点があると指摘、「リニ氏の解任を勧める」と同調した。
 資金注入の可否を決める権限を得た同委のファデル・ムハンマド委員長(ゴルカル党)は、注入の緊急性や額の適切性を考慮し「多すぎたり不必要だったりする場合は(資金注入を)拒否する可能性がある」と厳しく監視する意向を示した。
 リニ氏はアストラ・インターナショナル幹部などを務めた実業家。PDIPのメガワティ党首の個人秘書のような立場にいたが、最近はメガワティ氏や同党幹部らとの不仲が深刻化。PDIPのジョコウィ大統領への影響力を削ごうとする「イスタナ(大統領宮殿)の3ライオン」の1人とされている。
 受注過程が不透明とされた高速鉄道計画では中国案を推進。9月にインドネシア国営3銀行が中国開発銀行から30億ドル(約4300兆ルピア)の資金調達を発表したことが一部で物議を醸したほか、国営港湾運営第2ペリンドの汚職事件でも責任を問われている。
 国営企業を束ねる国営企業相には巨大な利権が絡む。政治学者のニコ・ハルヤント氏は「これまで国営企業相は政党出身者が担ってきた。(リニ氏は)国営企業をコントロールしたい政党の嫉妬を買っている」と述べ、資金注入を問題視することでリニ氏失脚を狙っていると指摘した。(堀之内健史)

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