省庁の実行力問う 与党・閣内の調整も課題 ジョコウィ政権きょう発足1年

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権発足から20日で1年を迎える。政治エリートや軍人ではない庶民出身の実業家・地方首長から政権の座を得たが、国政未経験の大統領は所属政党の与党・闘争民主党(PDIP)との意見対立や閣内の調整不足が目立つ。経済専門家は経済回復に向けた施策の効果はまだ限定的で、景気低迷の不安払拭(ふっしょく)には投資の阻害要因を取り除く省庁の実行力が問われていると指摘している。 

 経済紙インベスター・デイリーは19日付1面で、ガジャマダ大学経済公共政策研究センターのトニー・プラスティアントノ所長の論評を掲載した。政権発足直後に燃料補助金を削減し、地方のインフラ整備や中低所得者の支援に重点を置いたことを評価。経済閣僚を入れ替える内閣改造を断行したが、理想の内閣に近づけるためには段階的に閣僚を交代させる必要があると指摘した。
 経済回復に向けた経済政策パッケージを矢継ぎ早に打ち出したが、中長期的視野の施策が中心で効果は限定的と分析。投資の阻害要因となっている法令の廃止は省庁の末端での実行力が問われていると強調した。また、高速鉄道建設計画では日中案の決定過程が不透明で投資家の不信感を買ったと批判した。

■高所得者は不満
 日刊紙コンパスは同日付紙面で、政権発足1年に関する世論調査の結果を掲載した。保健カードや教育カードの発行などで、低所得者層の支持は過半数を超えていると伝えたが、高所得者層は66%が不満と回答しており、景気低迷の影響が拡大することへの不安が高まっていると指摘した。
 また同紙は「政府のコミュニケーション」との見出しの社説を掲載。政権発足当初、野党連合が多数派を占める国会側と政権との攻防が懸念されたが、野党は政府の施策に好意的で、むしろ与党自ら政治的策略をめぐらしてきたと批判した。
 汚職撲滅法の改正案や国営港湾運営第2ペリンド調査委員会の設置、米鉱山大手フリーポートの契約更新、高速鉄道建設計画など与党自身が問題を作ってきたと指摘。閣僚間の意見対立も目立つが、大統領が最終的に決断を下し、その理由を説明できる報道官が必要だと強調した。
 法学者のサルディ・イスラ氏は、予算消化を促すために、自治体の施策や行政手続き上の過ちによる損失を汚職として訴追しないとする施策に懸念を表明。予算執行の「近道」が、汚職撲滅への取り組みと相反することになり得ると指摘し、上位の法令を整備することで矛盾を解決すべきだと主張した。
 また国家警察長官人事など、一連のKPK弱体化の動きに是々非々で臨んできたと指摘。「今後も法改正を通じたKPK弱体化の動きは続くだろうが、大統領は政権発足1年を機にあらためて弱体化を拒否する姿勢を明確にするべきだ」と訴えた。(配島克彦)

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