TPP参加 2年以内 トマス商業相 国際競争に危機感

 トマス・レンボン商業相は9日、環太平洋連携協定(TPP)に2年以内に参加することを目指すと表明した。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は就任1年を迎える今月下旬、初めて公式に訪米し見解を表明する可能性もある。またASEAN経済共同体(AEC)の年末発足を控え、マレーシアやベトナムなどTPP参加を表明した他の東南アジア4カ国との国際競争をめぐる危機感もあり、各業界で議論が活発になりそうだ。

 トマス商業相は「大統領もTPP参加を望んでいる。参加を表明すれば海外からの投資をより呼び込める」と説明した。TPPに参加すれば工業製品や農作物の関税が撤廃もしくは削減され、国内の各業界からの反発も予想される。
 トマス商業相は「各業界から理解を得なければいけないが、長期的観点から各省庁に協力を呼びかけていく」と述べた。日米やマレーシア、ベトナムなど東南アジアの4カ国も参加するTPPは、5日の閣僚会合で大筋合意に達している。
 政府がTPP参加を急ぐ理由の一つに年末に設立するAECがある。TPP参加国のマレーシアやベトナムなどはASEAN域外との貿易の活発化で、産業の国際競争力が高くなり、それがAECでも有利に働くとの見方がある。
 さらにTPPに参加しないと、米国などへの輸出量下落を懸念する声も上がっている。インドネシア繊維業者協会(API)のアデ会長は「(TPP参加で)ベトナムの繊維産業は、米国などの市場にも進出しやすくなる。これは国内繊維産業の死活問題につながる」と強調する。
 APIによると、米国への繊維の輸出は海外輸出のうち最大の36%を占めており、米国などの市場シェアを奪われる可能性が高まると警戒する。マレーシアも自動車部品などインドネシアと類似した製品の製造に力を入れており、TPP参加により国内産業への影響を懸念している。

大統領も前向き

 インドネシアはこれまでTPP不参加の意向を示してきたが、地元メディアは昨年10月に就任したジョコウィ大統領は参加に前向きだと報じていた。大統領は今月下旬の訪米で、21日にオバマ大統領と会談する予定。会談ではTPP参加も議題になる可能性がある。
 政府はAECや東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などのほかに、先月から欧州連合(EU)とも自由貿易協定についての予備交渉を開始。来年1月から正式交渉を開始する予定で、多方面で貿易交渉を活発化させている。(藤本迅)

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