国内第2のダム稼働 西ジャワ州スメダン ジャティグデ・ダム 補償未完で住民抗議

 西ジャワ州スメダン県チマヌク川のジャティグデ・ダムの貯水が31日に始まった。国内で2番目の規模となるダム湖はかんがい用水の供給源となり、周辺の洪水被害軽減も期待される。ただ移転する住民へ補償は完了しておらず、一部は抗議を続けている。
 ジャティグデ・ダムはスカルノ初代大統領時代の1963年に建設計画が浮上したが、土地収用の難航などで着工が遅れていた。2006年に建設を開始、今年完成した。
 事業費用は4億6700万ドルで9割は中国の資金援助を受けた。堤高は最大110メートルで長さは1715メートル。
 9億8千万立方メートルの貯水能力があり、ダム湖の面積は4千ヘクタールとなる見込み。9万平方メートルの土地へのかんがい用水の供給源となる。下流の洪水を防ぐことができるほか、出力110メガワットの水力発電も備える。
 同日ダムで稼働開始の式典が開かれ、西ジャワ州のアフマッド・ヘルヤワン知事は「この水源はスメダンだけでなく(周辺の)マジャレンカ、チルボンまでの地域の利益となる」と期待を語った。
 ただ土地収用問題はまだ解決していない。ダム湖に沈む場所には元々28村、6郡の1万1千世帯があった。政府は補償金の支払いを進めてきたが、10%の住民への支払いが未完了だ。
 式典でバスキ公共事業・国民住宅相は補償を終えていないことを認めた上で、「大統領の指示に従って全ての問題を解決させるためにコミットメントしていく」と述べた。
 住民の一部は31日、同ダムや中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)前で稼働に対して抗議した。デモ代表者のアリさんは地元メディアに「ダム建設に反対しているわけではない。だがまだ未解決問題がたくさんある」と補償完了前に貯水を始めたことに不満を述べた。抗議では全ての住民が公平に補償を受けることや、新たな場所で生活できるめどが立つまでの貯水延期、住民を移転させる目的の脅迫や暴力を止めさせることを要求した。 
 地元メディアによると、5村で住民が立ち退きを拒否したり、行く場所がないなどの理由を挙げたりしてとどまっている。政府は全体が沈むまで時間があるとして移転と補償を進める。
 国内最大の貯水量は西ジャワ州プルワカルタ県のジャティルフール・ダムのダム湖。(堀之内健史)

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