損傷放置で速度低下 JICA専門家が渋滞調査 「雨期は修繕強化必要」

 国際協力機構(JICA)専門家の秋村成一郎・都市交通アドバイザーが昨年8月から今年4月までのタムリン、スディルマン両大通りの通行時間調査結果をまとめた。調査から降雨時ではなくても雨期には速度が大幅に低下していることが分かった。雨による道路損傷の放置や修繕の不備が背景にあるとみられ、雨期には修繕を強化することで一定の渋滞緩和効果がありそうだ。     

 秋村さんはスナヤン・ロータリー〜ホテルインドネシア(HI)前=第1区間=とHI前〜モナス広場前ロータリー=第2区間=をそれぞれ北上・南下に分け、乗車した自動車での通行にかかった時間(旅行速度)を計測した。
 雨期前の2014年9月1日〜10月17日と雨期終盤の15年2月16日〜3月17日の非降雨時を比べると、全体的に雨期の方が速度が下がった。特に南下で顕著になっている。 
 雨が降っていないにもかかわらず、速度が低下した理由を秋村さんは、運転者が冠水を避けて通行している▽排水設備や道路の損傷が放置されたまま修繕されず、障害物になっている▽修繕されていても不十分で、再び損傷している――が原因だと分析する。これを踏まえ、秋村さんは「修繕を強化するという短・中長期的な対策強化で雨期の渋滞を緩和できる」と指摘した。
 降雨時には運転者は大きく速度を落とし、旅行速度も低下しているが、雨期が始まったばかりの11月に比べ、12月以降の方が速度が上がった。秋村さんは「運転者が降雨での運転に慣れて速度があがった」と分析する。

■バスが渋滞要因に
 雨期と乾期関係なく、渋滞の要因になっているのがバスの存在だ。バスレーンを通行しないメトロミニやコパジャなどの小型バスはどこでも乗降できるため、他の自動車にとっては大きな障害となる。大型バスも停止場所は決まっているが、速度低下の要因となっている。
 また両通りでは4月に大規模な舗装打ち換えが実施された。雨期の終了と相まって打ち換え後は大幅に速度が上昇した。秋村さんは「打ち換え直後が1年で速度が最も速くなる時期になる可能性がある」と話している。
 昨年9月から4月末までに「3イン1(スリーインワン)」の取り締まり強化や二輪通行禁止などの規制のほか、大量高速鉄道(MRT)の工事にともなう道路断面の変更などさまざまな速度変化の要因があった。3イン1は規制区域を走行する自家用車に対し、朝(午前7時〜同10時)と夕(午後4時半〜同7時)に3人以上の乗車を義務付ける規制。秋村さんは今後も調査を続け、車道を通行する自転車の増加やMRT工事による断面変更による通行速度の変化を検証したいとしている。(堀之内健史)

◇調査の方法
 スナヤン・ロータリー〜ホテルインドネシア(HI)前とHI前〜モナス広場前ロータリーをそれぞれ北上・南下に分けて旅行速度を計測。時間帯は朝ピーク時(午前7時〜同10時)と日中(午前10時〜午後4時半)、夕方ピーク(午後4時半〜同7時)、夜(7時以降)に分けた。毎日、朝ピーク時と日中は最低1回ずつ、夕方ピークは週1〜2回程度計測した。デモなど特別な日は対象外。平均はそれぞれの値を二乗した平均値の平方根である二乗平均平方根。動画も撮影している。

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