高架式LRT、8月着工 2018年までに運行へ

 2018年のアジア大会に向けて都市交通機関を整備するため、ジャカルタ特別州は高架式の次世代型交通システム(LRT)事業を推進する。独立記念日の8月17日に着工する。アホック知事は今年の予算案でLRTの具体像を巡り州議会と対立したが、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が今年に入って前向きな姿勢を示したことで、建設に向け弾みがついた。 

 LRTは通常、都市中心部の道路を活用して軽量・低床の最新鋭の路面電車を使用する交通システムを指す。都心での自動車の乗り入れを抑制する効果があり、欧州だけでなく日本でも低公害の都市型新交通システムとして注目され、一部で導入が続いている。
 アホック知事は「(ジャカルタ特別州内に)もう地上に路線を敷くスペースはない。道路より高い位置に線路を敷く」と高架式でLRTを建設する意向を示した。高架式で路線網を整備し、その上に軽量・低床の最新鋭の都市型電車を走らせようとするもの。自動車の交通量が多いシンガポールなどでは高架を利用したLRTが運営されている。
 国営建設アディ・カルヤが工事を請け負う。ジャカルタ特別州は総工費を35兆ルピアと見込む。
 同州は8月の着工に向け、まず北ジャカルタのクラパ・ガディン〜南ジャカルタのクバヨランラマ(21.6キロ)工事のため、今年の予算から5千億ルピアを拠出する変更案を提出した。19日には、16年の予算からLRT建設に3兆ルピアを充てる計画を明かした。
 LRT事業については、今年の同州予算案で州議会が、アホック知事の推すLRT事業への予算拠出に反対。今年の予算に組み込まれなかった背景がある。
 ジャカルタ特別州開発計画局(バペダ)のクスマワティ局長は「今年は事業計画が明確で、州議会も同事業を支持するだろう」と、来年の予算案での拠出を視野に入れる。開発計画局は予算案に組み込まれるよう、州議会でLRTの事業を紹介し、必要性を説いていく予定だ。
 アホック知事は先月、ジョコウィ大統領と会談し、LRT事業をすぐに着工するよう要請された。カラ副大統領ともLRT事業について議論しているという。
 建設を請け負うアディ・カルヤ社によると、中央政府は同社にLRT事業建設のため、1兆4千億ルピアの資本注入を決めているほか、さらに建設費用を充てる計画を示している。
 ジャカルタ特別州はLRT計画の前に、03年ごろからモノレール計画が浮上していたが、費用や土地収用問題などで二転三転し、頓挫。今年の初旬に同計画を中止し、代替策として、アホック知事はLRTの建設計画を推進している。(佐藤拓也)

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