2億人が自己修練 飲食店にはカーテン ラマダン初日

 18日からラマダン(断食月)に入った。インドネシアでは約2億人のムスリムが自己修練のため断食を行う。ジャカルタ特別州の都心では飲食店の窓にカーテンが降ろされ、公的機関や企業は帰社時間を早めるなど、普段とは違う様子が見られた。

 18日午前3時ごろ、町中に子どもがたたく太鼓の音が響き渡った。断食に備えた夜明け前の食事「サフール」を呼び掛ける合図だ。中央ジャカルタで警備員として働くイクバルさん(24)は「午前3時に起きて、家族とサフールを食べる。礼拝をした後、6時まで一眠りして出勤する」と話す。普段と違う生活サイクルになるが「ラマダンを通して精神的成長が図れる。ラマダンは苦しいものではなくて、神聖で楽しいもの。アッラーをより近くに感じることができるからね」と説明した。

■ブカ・プアサで祝う
 中央ジャカルタの飲食店ではカーテンが引かれているのが目についた。あるファストフード店の店員は「ラマダン中は外から店内を見られないように配慮する」と語る。ラマダン中の日中の売り上げは落ち込むという。しかし、ブカ・プアサ(1日の断食明け)を祝う食事を買おうと、夕方以降は客でごった返した。オートバイでデリバリーを担当する従業員は「ラマダン中の夕方以降はいつもの倍忙しいよ」と話した。
 オフィスビル前には移動式屋(カキリマ)が並んだ。この時期、ブカ・プアサのための食事や軽食を買う客を目当てに、普段は出店しない場所に店を開く。エスブア(フルーツポンチ)を売るルクマンダ・レザさん(35)は「レバランが一番の書き入れ時。ブカ・プアサでは、辛い物や揚げ物よりも、甘いシロップがかかったエスブアが丁度いいんだ」と大勢の客の対応に追われながら話した。
 ジャカルタではラマダン中は州条例により、ナイトクラブやスパなどは休業する。州職員の勤務時間も週40時間から32.5時間に減らすなどムスリムへの配慮が至る所で見受けられる。

■モスクで弁当支給
 日没の午後6時前。ブカ・プアサを知らせるアザーンが響くと、ムスリムは今年初めてのブカ・プアサを家族や友人ととも祝った。中央ジャカルタのイスティクラル・モスクでは約3千個の弁当を用意。無料で配られる弁当を手に、人々は空腹と乾きを癒やした。食事配給を取り仕切るムハンマド・ハヒヨノさんは「ムスリムではなく、断食をしていない人でもモスクで一緒にブカ・プアサを祝ってほしい」と話した。
 会社が食事を提供したり、従業員が食事購入用の寄付を募ったりすることもある。日系企業に勤める男性(37)は「1日の断食を終えた後の食事は格別。ブカ・プアサを共にすることでムスリムの連帯感も高まる」と語った。(藤本迅、写真も)

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