「ハッタ氏の密約」暴露 鉱石禁輸措置で利益か マフィア撲滅 ファイサル氏

 未精錬鉱物の禁輸措置を掲げ、ロシア企業と密約を交わして利益を得た張本人――。石油ガス統治改革チーム代表を務めた著名経済学者ファイサル・バスリ氏が、ユドヨノ前大統領の右腕だったハッタ・ラジャサ前経済調整相を名指しで批判し、前政権で暴利をむさぼった「マフィア」への攻勢を強めている。

 ファイサル氏は25日、日刊紙コンパス主催のエネルギー関連セミナーで未精錬鉱物の禁輸措置に言及し、「ハッタ氏の役割は非常に大きかった」と指摘した。禁輸をめぐる議論が二転三転した背景には、世界最大のアルミ製造・加工ロシア・アルミニウム(ルサル)とハッタ氏の間で交わされた密約があると暴露した。
 禁輸措置はそもそも新鉱業法(2009年第4号)で明確に規定されたものではないとした上で、「ボーキサイトの禁輸措置が昨年発表され、4千万トンが国際市場から消えた。国際価格が急騰し、ルサル社の株も上昇、利益も数億ドルに上った。一方で国内のボーキサイト関連産業は17.6兆ルピアの損害を受けた」と明かした。
 さらに同氏は一連の密約は「大統領選挙と密接な関係がある」と指摘。当時、ハッタ氏はプラボウォ氏の副大統領候補として大統領選に出馬しており、選挙の資金源となった可能性を示唆した。
 ハッタ氏は昨年2月、来イしたロシアのドミトリー・ロゴジン副首相と会談し、ルサル社の事業計画を自ら発表した。同社は30億ドルを投じ、西カリマンタン州でアルミ製造工場を建設する計画があるとしていたが、「まったく実現される見込みがない」(ファイサル氏)という。
■大統領選で疑惑消失
 ハッタ氏の疑惑は大統領選でも話題になった。当時、エミル・サリム元環境相が討論会で「イニシャルR(ハッタ氏)は石油ガスマフィアだ」と糾弾したことがある。石油精製施設の整備を停止させ、石油生産量が減少し、輸入量や補助金の増大を引き起こす。アラブ系インドネシア人のリザ・ハリッド氏と組み、石油輸入で暴利をむさぼるマフィアだと指摘されたが、ユドヨノ氏と縁戚でもあるハッタ氏の疑惑は追及されず、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)氏を猛追するプラボウォ旋風にかき消された。
 ジョコウィ政権発足直後に設置された改革チームの任務を今月終えたファイサル氏は、26日にも「ハッタ氏関与を裏付けるデータはそろっている」と強調。国家警察にマフィアとされる人物らを告発する構えも見せ、マフィア追及の急先鋒(せんぽう)に立つ決意を改めて表明した。
 これに対し、ハッタ氏は「禁輸措置は新鉱業法に基づいたものだ」と反論。「国内で鉱石を精製する能力はあると確信している。付加価値を付けて輸出するという政策は外国に依存せず、自立した国家になる条件でもある」と正当性を強調している。(配島克彦)

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