KPK再建に女性陣 人事部会の9人始動  政権浮揚に期待も

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、今年12月で任期を終える汚職撲滅委員会(KPK)正副委員長候補を選出する人事部会メンバー9人を発表し、25日、大統領宮殿(イスタナ)で初会合を開いた。与党主導の警察長官人事で指導力に疑問符が付いた大統領は、全員女性で構成する前代未聞の人事部会を発足させ、KPK再建着手をアピール、政権浮揚につなげたい考えだ。

 30人の候補から厳選された9人の女性は、経済、法律、情報技術管理、心理学、社会学などの専門家。代表は最大手国営マンディリ銀行チーフエコノミストのデストリ・ダマヤンティ氏が務める。他に法務人権省幹部のエニー・ヌルバニンシ氏やハルクリストゥティ・ハルクリスノウォ氏、国家開発計画省幹部のディアニ・サディアワティ氏、ガジャマダ大学心理学部長のスプラ・ウィンバルティ氏ら。
 人事部会は8人のKPK幹部候補を大統領に提示し、この中から大統領が4人を選んで国会へ提出、国会が適性検査を実施して承認する。
 KPK幹部の任期は4年。委員長1人、副委員長4人の計5人で構成するが、昨年、副委員長1人が定年退職しており、この後任は国会が選出する。
 地元メディアは女性のみの人事部会を、ワヤン(影絵芝居)に登場する女性戦士「スリカンディ」に例えて報道。選ばれた9人も25日、大統領宮殿を訪れた際、報道陣の前で閣僚をスリカンディの夫となる英雄「アルジュナ」に見立てて写真撮影に応じるなど、「戦う女性」ぶりをアピールした。
■大統領自ら決定
 全員女性を任命のニュースは、昨年10月発足以来、人気が下降気味のジョコウィ政権浮揚にもつながっている。民間調査機関「ポリティカウェーブ」は、人事部会メンバーが発表された21日から1日以内で、ツイッターでジョコウィ大統領への言及は2万4千回を超え、うち93%が肯定的だったと分析。各メディアのニュース本数も499本と注目を集めた。
 女性重用はジョコウィ氏が重視してきた施策。中部ジャワ州ソロ市長時代に警備隊隊長に女性を起用し、現内閣は歴代政権で最多の女性8人を登用している。
 今回の人事は、国家警察の新長官人事をめぐり、緊迫化したKPKと警察の対立緩和を図ろうと、ジョコウィ氏自ら選んだ。
 週刊誌テンポによると、国家官房が提示した30人ほどの候補者名簿からジョコウィ氏が一人ずつ選び、政党などを介さずに決定したという。事前に名前が挙がった有識者もいたが、警察との対立再燃を引き起こすと判断したとみられる。
 KPKは1月以降、与党幹部が推すブディ・グナワン氏(現副長官)を汚職容疑者に認定。猛反発した警察は、過去の不正疑惑と称してKPK幹部を次々と追及する構えを示し、両者の対立が激化した。
 ジョコウィ氏は、警察を擁護するメガワティ氏ら与党幹部の言いなりになり、「汚職撲滅に弱腰」との評価も下されたが、次期幹部の人選からKPKを立て直す姿勢をアピールし、信用回復にも結び付けたい考えだ。(配島克彦)

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