南南協力へ3宣言採択 AA60周年首脳会議が閉幕
アジア・アフリカ会議(AA会議)60周年記念会議は23日、首脳会議で「バンドン・メッセージ」など三つの宣言を採択し、閉幕した。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領はアジア・アフリカ・センター(AAC)の設立や、15カ国・地域との二国間会談の合意を成果として強調。両地域の協力促進に向け、中心的な役割を担う意思と能力を示した。
採択されたのは「バンドン精神」の意義を確認した「バンドン・メッセージ」と、協力のあり方を示した「新アジア・アフリカ戦略的パートナーシップ(NAASP)宣言」、パレスチナ国家樹立の支持を明記した「パレスチナ宣言」の三つ。
バンドン・メッセージは「バンドン精神」の今日的意義を確認し「南南協力」を推進することが柱となった。独立間もない新興国が民族自決や繁栄を誓った60年前の精神を堅持するとともに、途上国間で連帯して発展を目指すとした。
NAASPは2005年の50周年記念会議で採択されたものを更新し、より良い協力のあり方を示した。途上国の利害をより確実に反映できるよう、国連安全保障理事会の改革を求める文言も盛り込まれた。
パレスチナ宣言では、イスラエルと共存する「二国解決」を前提に独立を支持した。独立支持はバンドン・メッセージにも盛り込まれたが、個別の宣言で改めて支持を強調した。
閉幕後の会見で、ジョコウィ大統領は会議の成果としてAAC設立を挙げた。AACは両地域の課題解決に向けた協議や意見交換の調整役を担う。本部はジャカルタに置く予定。
また、年次会議を設定して協力の促進を図る。インドネシアは南アフリカとの二国間会談を年次開催とすることで合意したほか、両地域の外相級会合を国連総会に合わせて隔年で開催することを決定した。
■15カ国・地域首脳と会談
インドネシアとしての成果には、期間中に日本や中国、パレスチナなど15カ国・地域と二国間会談を実現させたことを挙げた。中国との会談ではジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道建設に向けた協力や両国間の貿易額を1500億ドルに引き上げる目標を確認。日本とはハイレベル会合の「海洋フォーラム」実施やインドネシアからの輸出を協力して増やすことを確認した。
イスラム協力機構(OIC)代表との会談では、世界最大のイスラム人口を擁するインドネシアがパレスチナ独立支援やテロ対策などで積極的な役割を果たすことで一致した。
また、4月24日を「アジア・アフリカ連帯の日」に定め、バンドン市を「連帯のまち」に指定した。(田村隼哉、写真も)