マングローブ保全で エコツーリズム推進 渡り鳥のすみかにも スラバヤ東岸ウォノレジョ

 東ジャワ州スラバヤ市の東海岸沿いにあるマングローブ地帯「ウォノレジョ」。同市のマングローブ444・65ヘクタールのうち、ウォノレジョは56・91ヘクタールを占める。8種類のマングローブ林が広がり、17種の渡り鳥を含む52種類の鳥類を中心に多様な生き物が生息する。同市は市民団体と連携し、マングローブの保全と観光地化に力を入れている。
▼官民一体で管理
 スラバヤ市は「エコツーリズム」を推進。地域住民に観光地として親しんでもらい、マングローブ保全の重要性を理解してもらうのが狙いという。
 ウォノレジョでは、市政府と地元の民間ボランティア団体「エコツーリズム・マングローブ」が協力し、観光地として管理・運営している。マングローブ林の中に木道が続くジョギングコースやレストランを整備。結婚式前の前撮り写真のスポットとして利用したり、マングローブが生い茂る川沿いを船で遊覧したりでき、新たな観光地として注目を集める。
 スラバヤ市内と同地をつなぐ道の広さは、車1台分の一本道で、対向車とすれ違うには狭い。くぼみが多く道も悪いが、訪問者が殺到しないようあえて整備していないという。同市農業局のスジ・イラワティ・ファウジアフ局長は「多くの人が訪れると、ごみが増えるなど環境に悪影響を及ぼす可能性がある。電気を通すなどの開発は進めず、自然の姿のままマングローブのための場所として維持したい」と説明した。
  ▼多種多様な生物 
 マングローブは多種多様な生き物の生息場となり、海岸沿いの生態系を維持する。魚や貝、エビなどの天然の海洋資源が守られることから、漁業の活発化にもつながる。さらに波による土地の浸食を防ぎ、潮風や暴風、高波を緩和する自然の壁の役割も果たす。
 市政府は種子から苗木を育て植樹し、マングローブを育ててきた。種子は必ず地元に生息するマングローブから採集。土壌の状況を調べ、種類別に適した場所に植樹する。
 植えたばかりのマングローブは波から守るため竹で囲ったり、ごみやマングローブの成長を妨げる他の野生植物が周囲にないかなどを確認しながら、維持・管理を続ける。
 さらに市政府は若い人に環境保護の重要性を伝えようと、地元の学校を中心に、植樹や掃除などを通じてマングローブの保全活動をしてきた。同市のカルティニ大学では毎年、ウォノレジョで一人一本ずつマングローブの苗木を植える活動を続けている。
 同大の教員で活動に取り組むワルソノさんは「以前、この場所は放置され、誰も気に留めなかった。学生に自然や環境を守る大切さを学んでもらえれば」と話した。
 スジ農業局長は「バリやバリックパパン、ジャカルタなど各地にマングローブ林はあるが、管理状況は必ずしも良くない。ここでは地域住民や企業を巻き込み、植樹や保全活動を続けている。自然環境を維持しながら、観光地としても発展できれば」と話した。(毛利春香、写真も)

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