優遇措置適用せず 工業省  新日鉄住金、大阪製鉄に

 工業省は、新日鉄住金と大阪製鉄の現地合弁企業が申請していたタックス・ホリデー(税制優遇措置)を適用しないことを決めた。輸出へ貢献するなど税制優遇措置を受ける際の条件を満たしていない、との判断によるもの。インドネシア政府が日本を含む外資に投資を促すために検討している優遇措置も条件付きであることを示したと言える。

 優遇措置を検討していたのは、新日鉄住金とインドネシア最大の製鉄会社クラカタウ・スチールの合弁会社クラカタウ・ニッポンスチール・スミキン(KNSS)と大阪製鉄とクラカタウ・スチールの合弁会社クラカタウ・オオサカスチール(KOS)の2社。
 KNSSは資本金1億4200万ドル(出資比率は新日鉄80%、クラカタウ20%)で2017年からバンテン州チレゴンのクラカタウ工業団地の工場で自動車用冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板の製造販売を開始する準備を進めている。製品の多くは日系自動車メーカーに供給する。
 KOSは資本金7千万ドル(出資比率は大阪製鉄80%、クラカタウ・スチール20%)で2016年に中小形形鋼、鉄筋棒鋼、平鋼などを製造する。政府がインフラ整備に力を入れ始めた中で、拡大する建設用資材市場に供給する計画である。この分野に日系企業が進出するのは今回が初めて。
 両社は事業開始に当たってインドネシア政府が設定した優遇措置の適用を申請した。両社は詳しい内容を明らかにしていない。関係筋によると、合弁事業の立ち上がりが容易になるような事業税の免税や軽減措置が中心になっている。新日鉄は優遇措置の適用を申請したことを認めている。
 これに対しビスニス・インドネシア紙によると工業省は、「優遇措置は進出がインドネシアに広範な意義を持っている企業に適用される制度」(ハリス・ムナンダール政策・事業環境研究センター長)と指摘。具体的には製品の付加価値が高く、インドネシア側に技術移転や経済に戦略的意味合いが大きいなどの条件を満たす必要がある、としている。
 新日鉄の合弁会社の場合、同センター長は「原料は日本から輸入し、製品は(日本の)自動車会社。自動車産業には工業省はこれまで多くの優遇措置を与えている」と免税措置を適用しない背景を説明している。技術移転などの項目については、新日鉄案件は工業省の課した条件を満たしているものの、総合的に見てインドネシア側の政策目標を満たさない場合優遇措置の適用はしないとの考えである。
 工業省の決定について、両社は今後の対応を検討中だが、基本的には両社とも事業計画を当初の予定通り進めるとしている。

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