中国から融資15億ドル 財閥の発電所計画に スマトラやスラウェシ 大統領が調印に同席

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は27日、北京市内で中国の李克強首相とビジネスフォーラムに出席し、中国国有銀行の国家開発銀行(CDB)と中国商工銀行(ICBC)の両行がシナールマスグループの傘下企業に計15億ドル(約1800億円)を融資する内容の覚書調印に立ち会った。ジョコウィ政権が進める発電所の建設費などに充てる。

 ジョコウィ大統領は今回の外遊で最初の訪問先である日本で23日、安倍首相から、ジャカルタのインフラ整備費用として1400億円の円借款を供与する方針を伝えられた。CDBは国家的政策金融機関。中国も資金調達を支援することで、影響力を拡大する狙いがあるとみられる。
 アンタラ通信によると、今回合意した融資のうち、4億8千万ドルは南スマトラ州ムシバニュアシンで計画する出力規模300メガワット(MW)の石炭火力発電所に、2億ドルを東南スラウェシ州クンダリで計画する同50MWの発電所2カ所に充てる。ほかは、パルプ・製紙関連企業の事業拡大などの資金とする。
 ジョコウィ政権は5年間で電力供給を3万5千MW分増加する目標を掲げており、巨額の資金調達が課題になっていた。シナールマスグループのフランキー・ウィジャヤ理事は「今回の合意は、インドネシア全土で電力供給量を高めようという政府の努力を支援することにつながる」と話した。
 CDBは2012年12月、シナールマス傘下企業がムシバニュアシンで進める別の石炭火力発電所建設向けに、3億1800万ドルの融資を決めている。
 フォーラムでジョコウィ大統領は、2017年の国内総生産(GDP)成長率を7%とする目標を紹介。19年までに天然資源加工に特化した工業団地13カ所を含む15カ所の工業団地を造成するなど、今後の開発計画を説明し、集まった経済人に投資を呼び掛けた。
 フォーラムに先立ち、ジョコウィ大統領は李克強首相と会談。大統領は、習近平国家主席が提唱し、東南アジアやインド洋諸国と中国が海洋協力を進め貿易ルートを確保するとした中国の「海上シルクロード」建設を引き合いに、「インドネシアは海洋基軸国家という目標があり、両国は同じ目標を掲げている」と述べ、連携を呼び掛けた。
 李首相は「両国は多くの伝統を共有し、世界平和の推進を求めている」と話し、海洋分野やインフラ開発、鉱業など幅広い分野で相互補完的な経済協力が可能との考えを示した。
 大統領は中国共産党序列第3位の張徳江・全国人民代表大会常務委員長とも会談した。(道下健弘)

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