シリア渡航計画相次ぐ ツアー客は依然不明 女性や子どもも

 過激派組織の「イスラム国」に加わるためシリアに入国しようとしたとして、トルコ警察が身柄拘束したインドネシア人16人について、インドネシアとトルコ両国政府は、観光ツアー中に行方不明になったインドネシア人16人とは別集団と確認した。女性や子どもも渡航を試みたとされる事案が相次いでおり、情報当局はイスラム国が支払う「月給」に魅力を感じていると指摘している。
 インドネシア政府によると、拘束されたのは成人男性1人と同女性4人、子ども11人。シリア入国を目指したことを認めているという。拘束場所のトルコ南部ガジアンテプは、シリアのイスラム国支配地域に入る際に参加希望者がよく経由するルート。国家警察のバドロディン・ハイティ副長官は17日、16人は1月に拘束されたが、トルコ政府からの連絡は、今月4日だったと明らかにした。16人は帰国を拒んでいるという。
 先月下旬に観光ツアーを離れた後、行方不明になったのも同じ16人。だが、子どもは7人で成人男性が複数いた。国家警察のアグス・リアント報道官は14日、この16人はシリアには入国していないとの見方を示した。国際刑事警察機構(ICPO)からの情報が根拠という。現地からの報道では、トルコ政府はこの16人が国内にとどまっているかどうか、公表していない。

■「月給」支払いで勧誘
 一方、治安関係機関は帰還者などの調べを進めており、イスラム国の勧誘の実態が徐々に分かってきた。国家情報庁(BIN)のマルシアノ・ノルマン長官はこのほど地元メディアに「戦闘に参加したいという欲求に駆られているわけではない。生活費など毎月の現金支払いを約束されていて、お金に引きつけられている」と指摘。「妻子を連れて渡航する際に、大きな動機になっている」と、女性や子どもの渡航が目立つ背景を説明した。
 同長官によると、シリアとイラクのイスラム国支配地域には、50人前後のインドネシア人がいるとみられる。ただ、入国できる地点は多くて、実際にはさらに多くが入国している可能性があるという。
 労働者派遣保護庁によると、シリアにはインドネシア人の出稼ぎ労働者が最大で3万人働いていたが、戦闘の激化に伴い大部分は国外に避難した。ただ、現在でも約8千人が残っているとみられ、ヌスロン・ワヒッド同庁長官は地元メディアに「(残留者の中に)イスラム国に同調するようになった人がいるのは間違いない」と話した。

■渡航禁止の制度なく
 集団でイスラム国への参加を目指したとみられるケースでは、昨年12月、マレーシアで12人の身柄が拘束されている。イスラム国支配地域に入ること自体を禁止する国内法はなく、移動の自由を制限するような法整備は今後も難しいとみられる。
 訪日中のカラ副大統領は15日、トルコ政府高官と会談し、両国の情報交換の在り方や、イスラム国が原因の難民流入への対応などを話し合った。(道下健弘)

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