日本の伝統織物、イに活路 慶応大研究者ら ムスリムファッション協会、4月設立 (2015年03月10日)

Share (facebook)
このエントリーをはてなブックマークに追加 LINEで送る

 日本の伝統織物業界と、インドネシアのムスリムファッション業界の仲介役を果たそうと、慶応大学のインドネシア研究者らが4月1日付で一般社団法人「日本ムスリムファッション協会」を設立する。イスラムへの理解を深めつつ、ファッション分野での「和とムスリムの融合」を通じて、衰退する日本の伝統織物の活路をイスラム市場に見いだそうという試みだ。

 代表理事を務めるのは慶応大の大学院社会学研究科で教育学を専攻する折田真一さん。協会は和服に使われる日本の伝統織物を使って、ムスリム向けの服をつくり、インドネシアで販路を広げていくことを目指す。
 慶大ではインドネシアに関する著書を多数出版している倉沢愛子名誉教授やインドネシアのムスリムファッションの研究をしている同大SFC研究所の野中葉上席所員らが協力する。
 折田さんらはこのほどインドネシアを訪問し、インドネシア・デザイナー協会(APPMI)幹部や地元デザイナーと会い、事業の可能性について協議した。APPMIからは来年の「インドネシア・ファッションウィーク」へのブース出展やショー開催の申し出があった。西ジャワ州バンドンでムスリムファッションの専門学校設立を計画するデザイナーからは、日本の繊維産業の歴史について講義の依頼があったという。
 今のところ日本で会員になる企業は、伝統的素材を使った繊維製品を製造・販売するふく紗(愛媛県松山市・伊東信二社長)だけだが、ふく紗が開発したムスリム向けの服をインドネシアで販売して成功事例を作り、織物業界に参加を呼びかけていく。
 協会の活動は当面、インドネシアに日本の伝統織物を普及させることに注力。そのため、日本側会員とムスリムファッション業界関係者との交流会開催、相互のホームステイを通した交流の支援などを行う。ムスリム社会の理解のため、イスラムや経済の情報提供や、会員との仲介、製品がイスラムに沿っているか、質を維持しているかの認定、ムスリムファッションに関する検定試験も実施する。倉沢名誉教授や野中上席所員らの講演も考えているという。
 将来的にはかばん、靴など商品を増やす。他国との仲介も視野に入れる。
■和とムスリムの融合
 折田さんは奄美大島の商業科の高校教師だったが、昨年休職して慶応大の大学院に入学し、インドネシアへの研修旅行に参加した。その際、インドネシア経済の活力を知るとともに、教師時代に受け持っていたムスリムの教え子に対して、自身の理解が無かったことにも気付いた。奄美大島で衰退する絹織物「大島紬」をムスリムファッションで復活させ、同時に日本側もイスラムへの理解を深めることができればと協会設立を決めた。
 折田さんは「協会を通して一方的にファッションを売り込むのではなく、『和とムスリム』を融合させ、お互いの理解を深めていきたい」と意気込んでいる。(堀之内健史、写真も)

日本ムスリムファッション協会を設立するメンバーら。折田真一代表理事(中央)、慶応大学SFC研究所の野中葉上席所員(左)、ふく紗の伊東信二社長
日本ムスリムファッション協会を設立するメンバーら。折田真一代表理事(中央)、慶応大学SFC研究所の野中葉上席所員(左)、ふく紗の伊東信二社長

このカテゴリの最新記事

本日のニュース一覧