アグン氏に正統性 ゴルカル党裁判所が判断

 アブリザル・バクリーとアグン・ラクソノ両氏がそれぞれ党首に選出されたと主張していたゴルカル党で3日夜、両氏の正統性を審理中の「党裁判所」はアグン氏を党首として認める判断を示した。アグン氏は党首として始動、バクリー派は巻き返しを模索している。国会第2党の党首が、政府・与党に融和的姿勢をとるアグン氏に交代することで、国会勢力図が塗り替えられる可能性もある。

 党裁判所で裁判官を務めた幹部4人のうち、ジャスリ・マリン、アンディ・マタラタ両氏がアグン氏の正統性を認める判断を示した一方、元法相のムラディ裁判長とナタバヤ氏は判断を示さなかった。ジャスリ、アンディ両氏はバクリー派が日程を前倒しして昨年12月に強行した党大会について、透明性を欠き、党首選出の手続きも民主的ではなかったと断じた。アグン氏に党首としての正統性を認めた上で、2019年の総選挙と大統領選挙に備え、16年10月に党大会を開催するよう命じた。
 一方、判断しなかったムラディ、ナタバヤ両氏は、バクリー派が同氏の正統性の確認を求めて最高裁に上告していることを踏まえ、最高裁でどちらの派閥が勝訴しても執行部を独占せず相手陣営との融和を図るよう命じるとともに、敗訴しても離党しないよう、くぎを刺した。
 判断を受け、アグン氏は「今日から責務を果たす」と勝利宣言。4日には執行部体制を法務人権省に報告した。対するバクリー派幹部のアジス・シャムスディン氏は裁判官の判断が割れたことを強調し「両派引き分けだ。最高裁の判決を待つ」と語った。過去3回の口頭弁論を欠席したバクリー氏はこの日も姿を見せなかった。
 ゴルカル党は昨年の総選挙で91議席(全560議席中16.25%)を獲得、第2党となった。大統領選ではグリンドラ党のプラボウォ・スビアント党首と国民信託党(PAN)のハッタ・ラジャサ党首(当時)を正副大統領候補に推したが、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)、ユスフ・カラ組に敗れて野党に転落した。
 第1党の闘争民主党(PDIP)を中心とする与党連合は4党で208議席。野党連合では開発統一党(PPP)でも2組の党首と執行部が並立する内紛が続いているものの、PPPを除く4党で252席を維持し、与党連合を圧倒している。国会議長や委員会ポストをほぼ掌握。政府・与党は難しい国会運営を強いられている。
 そうした中でアグン氏は政府・与党に融和的姿勢を示してきた。ユスフ・カラ副大統領が同党の党首を務めた時期にはカラ派に属しており、カラ氏を介して政府・与党に接近する可能性がある。
 アグン氏が党の方針を転換するのではないかとの観測から日刊紙メディア・インドネシアは「ゴルカル党、政府と連携へ」の見出しで報じた。また政治評論家のヘリ・ブディアント氏はアンタラ通信に「ゴルカル党が離脱する可能性もあり、野党連合は解体の危機にひんしている」との見方を示した。
 今回の判断はジョコウィ大統領にとって、国会運営だけでなくPDIPとの関係の面でも朗報だ。大統領は党内に確かな支持基盤を持たず、汚職撲滅委員会(KPK)と国家警察の対立ではメガワティ党首ら幹部の介入に屈したとの批判を浴びた。ゴルカル党を味方につければ、PDIPの影響力を相対化できる。
 ただ、バクリー派の行動次第ではゴルカル党が分裂する可能性もあり、政局は波乱含みだ。(田村隼哉)

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