故障は現場で修理 トランスジャカルタ 日野が整備トラック供与
日野自動車の現地法人日野モータース・セールス・インドネシア(HMSI)は3日、首都圏専用路線バスのトランスジャカルタを運営する州営トランスポルタシ・ジャカルタ(TJ)に整備・修繕設備や道具を備え付けたトラックを供与した。路上で故障した車両に、トラックで駆けつけることができるようになる。
HMSIはトランスジャカルタが運行を始めた2004年から車両を納入しており、今は圧縮天然ガス(CNG)車両93台を含む310台が運行している。
トラックは路上で問題が起きた車両の場所へ駆け付け、修理する。HMSIの榧木(かやのき)寛雄社長は「これまではメンテナンス不良でオーバーヒートなどが起きることがあり、修理ができる場所まで車両を運ぶ必要があったが、今後はその場で対応できる」と話した。
同日開かれた供与式典でアホック知事は「まだトランスジャカルタを最大限に生かせていない」と運行に課題があるとの認識を示した上で、HMSIに謝意を示した。
トランスジャカルタでは昨年、中国の宇通や韓国の大宇製車両で少なくとも9件の火災が起きた。中国の通中客車製の車両に中古部品が使われていたことが分かり、ジョコウィ前知事は昨年、調達に関わった運輸局長を更迭した。
州は停留所と大量高速鉄道(MRT)駅との連結や、州内に建設を予定する高架式高速道路へのトランスジャカルタ専用レーン設置を計画。利便性向上により、利用者や車両数が今後増えるとみられ、事故多発で揺らいだ車両の信頼性や安全性に注目が高まっている。
トランスジャカルタは中国や韓国メーカーのほか、独ダイムラーやスウェーデンのトラック・バス大手スカニアからの車両調達の可能性も報じられるなど欧州勢も興味を示している。
榧木社長は「車両自体の品質とアフターケアを重視することで車両の稼働率を上げ、寿命を伸ばすことで、今後も納入していきたい」と話した。(堀之内健史、写真も)