災害時にスマホアプリ活用 一目で被災状況確認 阪大・塚本教授が開発 ジョクジャで運用開始

 大阪大の塚本俊也特任教授(56)=未来共生・危機管理学=が、ジョクジャカルタ特別州のガジャマダ大学(UGM)・大阪大学サテライトキャンパスで、災害の被災状況などを確認するアプリ「CARED」を完成させた。塚本教授の後押しでガジャマダ大と同州災害対策局(BPBD)が先月13日、アプリを災害時に活用する覚書を締結、減災への貢献が期待されている。

 塚本教授が開発したアプリ「CARED」は災害発生時、被災者にGPS(全地球測位システム)付きスマートフォン(スマホ)でダウンロードしてもらい、被災や避難の状況の質問に答えてもらう。そのデータを集約して、専用のパソコンで見ることができ、復興支援活動に有益な情報として活用できる仕組みだ。
 例えば、「赤」はけがをしており救護が必要、「黄」なら怪我をしているが救護はいらない、「緑」なら負傷なしというように、一目で個人の被災状況が分かる。
 アプリは日本語、英語、スペイン語、中国語、インドネシア語、ジャワ語など9言語に対応している。アンドロイド端末で、今月中にはiPhoneでもダウンロード可能になる見込みだ。
 先月13日には、塚本教授やUGMのデウィコリタ・カルナワティ学長、BPBDのガトット・サプタディ所長立ち会いの下、UGMとBPBDが覚書を締結。BPBDは、州の災害対策として、アプリを活用していく方針だ。デウィコリタ学長が「アプリは、ジョクジャカルタでの復興支援に、革新をもたらす可能性がある」と語るなど期待は大きい。
 ジョクジャカルタ特別州では、2014年3月からUGMの学生を対象に、実証実験を実施していた。 
 塚本教授は1995年の阪神淡路大震災時に、神戸市でNGOの一員として復興支援活動に従事。被災状況を知るため、100カ所以上の避難所をまわった。2006年の中部ジャワ地震時も現地で支援にあたり、被災の詳細が分からない事態に直面した。その経験から、「復旧支援には、広域の被災状況がすぐ分かることが必要だと感じた」という。それが「安価で一般市民が使いやすいもの」としてアプリ開発につながった。
 アプリは、鳥インフルエンザなどの伝染病にかかった場合にも、どの場所で感染が拡大しているかがわかるなど、活用の幅は広い。
 団体とはライセンス契約をして、使用してもらう。今月には、大阪のインドネシア総領事館が、在日インドネシア人の安否確認への実証実験を開始する。今後は日本に滞在している外国人や在外邦人の安否確認などへも、活用の幅を広げていく。
 NGOや赤十字などの人道支援団体には無料で提供をする予定だ。(藤本迅)

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