政権与党に不協和音 闘争民主党 大統領側近の更迭案も

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権で不協和音が生じている。警察長官人事で連立与党が大統領に圧力を強める一方、党外出身者をはじめとする大統領側近が与党と大統領の間の意志疎通を阻害していると問題視、内閣改造で更迭すべきだとの声も出始めた。 

 闘争民主党(PDIP)幹部のヘンドラワン・スプラティクノ氏は11日、与党の見解が政府に反映されにくくなっているとの見方を示し、閣僚は大統領の側近として振る舞うだけでなく、党の代表としての役割を果たすべきだと不満を述べた。
 党と大統領の意志疎通を阻害している側近として3人を挙げ、アンディ・ウィジャヤント内閣官房長官、ルフット・パンジャイタン大統領主席補佐官、リニ・スマルノ国営企業相を名指しした。
 別の党幹部、TB・ハサヌディン氏も「3人が大統領と党の関係に悪影響を及ぼしている」と同調し、党の決定が大統領に届かない主要因になっていると指摘。党内で内閣改造を訴える声が多数出ているが、「ジョコウィ氏の意向を尊重したい」と話した。
 一方、警察と汚職撲滅委員会(KPK)の対立が緊迫化する中、大統領特設の独立調査委員会からは政権不安定化を懸念する声が出ている。同委のイマム・プラソジョ氏は、ジョコウィ氏がプラボウォ氏やバクリー氏ら野党代表と会談したのを受け、大統領と与党の間で新たな緊張が生まれたと指摘。特定の閣僚を入れ替えても問題は解決せず、政権発足100日直後の内閣改造は時期尚早だとの見方を示した。

■大統領の腹心たち
 地元メディアでは、内閣・大統領府の中でも特にジョコウィ大統領に近い側近が話題になっている。週刊誌テンポは、プラティクノ国家官房長官、アンディ内閣官房長官、ルフット主席補佐官の3人を挙げ、視察など大統領の公務に必ず同行し、最も密接に連絡を取り合っていると指摘。大統領は官邸で毎朝この3人との対話から仕事を始めると報じている。
 プラティクノ氏は、ガジャマダ大(UGM)学長在任時から大統領選でジョコウィ氏を支援した腹心で、大統領とはUGMの学部違いの同級生。警察とKPKの対立では、UGMが事態収束を訴える集会を開催し、政権支持を表明する声明を出した。
 アンディ氏は大統領選対策に始まり、政権移行チーム副代表を経て入閣した政策立案のまとめ役。警察長官などの人事では候補者の経歴や政治リスクなどを分析、大統領がこれを踏まえた上で選定した。
 大統領と公私ともに親しいルフット補佐官は国会対策のパイプ役。ルフット氏の取り計らいで、大統領選で火花を散らしたプラボウォ氏やバクリー氏らとの会談を実現させるなど、大統領に攻勢を強める与党をけん制している。これが与党を刺激し、ルフット氏ら側近更迭案につながっているとみられる。(配島克彦)

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