別の副委員長も告訴 KPK対警察、混迷続く ジョコウィ大統領介入に消極的

 汚職撲滅委員会(KPK)と国家警察の対立が緊迫化する中、23日に拘束されたKPK副委員長は24日未明に保釈される一方、今度は別の副委員長が告訴されるなど混迷が続いている。捜査の進展によってはKPKが機能不全に陥る可能性がある。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は25日夜、KPKと国家警察に対し、捜査機関としての威厳を保って問題を解決するよう指示したが、捜査機関への介入には消極的な姿勢を示している。  

 国家警察が24日受理した告訴状の内容によると、2006年、KPKのアドナン・パンドゥ・プラジャ副委員長が代理人を務めた森林伐採企業の株取引で違法行為に関与した疑いがあるというもの。告訴した弁護士は、アドナン氏が東カリマンタン州ブラウ県のデシー・ティンバー社の文書を偽造するなどして同社株式を取得したと主張。県警や州警本部に相談したが無視されたため、国家警察に持ち込んだと説明している。
 これに対してアドナン氏は25日、選考委員会による厳格な審査を経て就任したことなどを理由に、自身の経歴に問題がないことを強調。「告訴人はこの状況に乗じて名声と利益を得ようとしている」と指摘した。
 これに先立ち、アドナン氏らKPK幹部は23日深夜、国家警察を訪れ、同日拘束されたバンバン・ウィジョヤント副委員長の身元保証人となり、バンバン氏は保釈された。
 バンバン氏は24日、「法を執行する者として、法令や道徳、倫理上問題があってはならない」と述べ、辞職も視野に入れていることを示唆、「自分自身の問題解決に専念したい」とも語った。週明けに再び国家警察の聴取が予定されているという。
■委員定足数の壁
 KPK幹部の定員は委員長1人、副委員長4人の計5人だが、KPK法では定足数を3人と定めている。先月に任期を終えたブスロ・ムコダス元副委員長の後任は置いておらず、現在の委員は4人。仮にバンバン氏が辞任し、アドナン氏の容疑が固まった場合、アブラハム・サマッド委員長とズルカルナイン副委員長の2人だけになる。
 KPKがブディ次期国家警察長官の汚職容疑を公表し、長官人事にストップをかけて以降、委員2人が相次いで告訴・告発を受ける異常事態。機能不全に陥るのを回避するため、KPKや支持者らは現職委員に対する捜査を禁止する特別政令を出すよう大統領に求めている。
 ジョコウィ大統領はこの日、中央ジャカルタの大統領宮殿(イスタナ)で、テジョ政治・法務・治安調整相やヤソナ法務人権相、プラセトヨ検事総長、バドロディン・ハイティ国家警察副長官を集めて協議。夜には元憲法裁長官やKPK、国家警察の元幹部ら6人と会談した。
 大統領は会見で、KPKと警察が手掛ける捜査について「(大統領ら)第三者の介入があってはならない」と強調し、「両者は捜査の透明化を図り、法令に沿った措置であることを示さなければならない」と呼びかけた。大統領は他の識者との協議を続け、意見を求めた上で適切な措置を講じる姿勢を示すにとどまった。(道下健弘)

「KPKを救え」 カーフリーデーでデモ

 汚職撲滅委員会(KPK)のバンバン・ウィジョヤント副委員長が逮捕されたことを受けて、KPK支持者ら数百人は25日、中央ジャカルタのカーフリーデーで抗議デモをした。支持者らは「KPKを救え」「インドネシアを救え」などと書いた横断幕や看板を手に参加した。
 デモは午前7時から同10時半の約3時間、支持者らがスピーチをしたり音楽を流したりして、スディルマン通りからホテルインドネシア(HI)前までを行進した。
 支持者はバンバン副委員長のお面を着け、白いTシャツを着用して「潔白」を表明。横断幕に署名をしてKPK支持を訴えた。
 デモは中部ジャワ州スマランやソロでもあり、KPK支持者による警察への抗議が広がっている。
 支持者は24日ごろからツイッターなどSNSを通じてジョコウィ大統領がカーフリーデーに参加するとの情報も含め、デモ参加を呼びかけていた。大統領は25日午前7時から約1時間、自身のマウンテンバイクで運動し、デモ隊に手を振るなどあいさつをした程度だったが、この日は白いポロシャツを着用していたという。

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