どちらが与党になるか 政権安定化のチャンス 民主・ゴルカル

 ジョコウィ政権与党入りの椅子一つを、ユドヨノ前大統領の民主党とカラ副大統領の古巣、ゴルカル党が競っている。ジョコウィ側は交渉を続け均衡を維持する限りは安定が見込め、1党引き込めば国会の安定多数を獲得できる。民主、ゴルカル側には与党入りが魅力的だ。安定した政権運営のチャンスを迎えた。                                                                  

 国会は20日、地方首長選の直接選挙を復活させた。昨年9月末に長時間審議で成立した間接選挙が、十数分間の審議で直接選挙に戻った。中立の民主党が賛成したためだ。昨年末からユドヨノ氏とジョコウィ氏の急接近が伝えられた。
 ただ、両者は課題を残している。ユドヨノ氏は18日にフェイスブックでジョコウィ氏が政権内のユドヨノ人脈をパージしていると懸念を示し、19日に前閣僚を私邸に集めた。ジョコウィ側はパージを否定した。
 きっかけは国家警察長官人事。ユドヨノ氏が任命したスタルマン氏が任期を残しての退任になり、ジョコウィ氏はバドロディン副長官を長官代行に据えた。法学者のチプタ・ルスマナ氏は18日、大統領選挙中にジョコウィ氏を誹謗(ひぼう)中傷したタブロイド紙をめぐる捜査が、スタルマン長官時代に進展しなかったことが、退任の背景と指摘している。地元メディアはタブロイド紙の制作・配布にユドヨノ政権の大統領宮殿スタッフが関与したことを追及していた。
 ユドヨノ氏は政権2期目の終盤、義弟を陸軍参謀長につけ、義弟の後任となったムルドコ氏を間髪入れず国軍司令官に任命。スタルマン氏も2013年10月と同時期に任命した。有力候補に次期政権の大臣職の確約を求めたとも言われた。ジョコウィ政権発足前の政権移行協議は不調に終わったのも、影響力を残すことを模索するユドヨノ氏と自分のカラーを出したいジョコウィ氏の間に譲歩の余地がなかったためだ。
 しかも、メガワティ闘争民主党(PDIP)党首は元部下のユドヨノ氏を毛嫌いする。シャリフ民主党党首代行は21日「政党が大統領の大権を侵してはならない」と語り、警察長官人事で自身の元警護官の押し込みを目論んだメガワティ氏を暗に非難し、ジョコウィ氏を擁護した。

▼ゴルカル、虎視眈々
 ゴルカル党が追いかける。党は昨年末の内紛で親野党のバクリー派と親与党のアグン・ラクソノ派に分裂したが、バクリー側の長老アクバル氏は昨年12月下旬ジョコウィ大統領と会談し、今月7日、二度目の会談を経て、党首のバクリー氏は13日にジョコウィ氏と、21日にはルフット大統領主席補佐官と大統領宮殿で会談。野党にこだわり続けた態度を、与党と野党の中間の「均衡勢力」に軌道修正した。「ゴルカル党は、良ければ賛成し悪ければ反対する」。
 ルフット氏は大統領選でジョコウィ氏を支持し、バクリー氏がゴルカル党顧問会副会長から解任した経緯があり、両者の会談には意味合いがある。(吉田拓史)

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