ルピア、16年ぶり安値 1万2700台、見方分かれる 輸入依存はコスト増

 ルピアは15日、ドルに対して下落し、アジア通貨危機以来16年ぶりの安値となった。4月に付けた今年最高値から約11%下落。原料を輸入に頼る日系製造企業はコスト増への対応を迫られる。

 ブルームバーグによると15日は前日比1.98%下落し、1万2713ルピアとなった。中銀発表の対ドルの銀行間取引参照レートJISDORは、同日1.34%ルピア安の1万2599ルピア。国内企業の年末のドル決済によるドル需要が依然として高いほか、米国の景気回復、経常赤字などがルピア売りの要因になっている。  
 ドル決済は今週がピークで、年末に向かうにつれてドル需要が縮小するとみられる。地元メディアは専門家の見解として「インドネシアのファンダメンタルズ(基礎的条件)をみると、1ドル1万2000〜1万2200ルピアあたりが妥当」として現在は適正値を下回っていると指摘。来週以降は適正値に戻っていくとの見方を示した。
 アジア通貨危機以来のルピア安だが、三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店の林哲久副支店長はルピア安圧力はさらに加速すると指摘。昨年の燃料値上げ時にルピアが2割安になったことから、「1万3千〜1万5千ルピア台に下がる可能性もある」と話した。
 昨年のルピア急落では、世界の通貨の中で下落幅はルピアが突出しており「通貨危機」も指摘されたが、今回は世界的なドル高に伴うもので、他の通貨もドルに対して下落している。米国の景気回復はインドネシアの輸出産業にとってはプラスになるとして、楽観的な見方もある。
 投資調整庁(BKPM)のフランキー・シバラニ長官は15日、「ルピア安は海外からの投資に影響を与えない」と述べた。同長官によると依然としてインドネシアは海外投資家からの関心は高いという。来年からは新政権によるインフラへの大規模な投資が始まるほか、投資手続きの簡素化で伸び率を維持できると見ている。
 原料の3割を輸入に頼る日系食品メーカー幹部は「燃料値上げや最低賃金の上昇に加え、ルピア安で調達コストは大幅に上がるため、製品を値上げせざるを得ない」と、値上げ幅を検討中という。ルピア安が続けば消費財をはじめ広範囲な値上げにつながり、成長をけん引する個人消費を冷え込ませる懸念もある。(堀之内健史、佐藤拓也)

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