チカランで高速封鎖 工業団地で1万人デモ 最賃引き上げを要求
インドネシア労働組合総連合(KSPI)を中心とする複数の労働組合連合の約1万人は21日午前、西ジャワ州ブカシ県の最低賃金の引き上げなどを訴えるデモを起こし、ジャカルタ特別州と西ジャワ州チカンペックを結ぶ高速道路のチカラン・ウタマ料金所を一時封鎖した。同県にあるMM2100や東ジャカルタ工業団地(EJIP)、ジャバベカ工業団地などの各企業を回ってデモ参加を呼びかける「スウィーピング」は19日から続き、一部では破壊行為も発生、日系を含む多くの企業が操業を停止している。
高速道路管理会社などによると午前7時ごろから約3時間、デモ隊が賃上げを訴えてチカラン・ウタマ料金所を封鎖。渋滞が起きたが、同10時半ごろには正常に戻ったという。ブカシ県警は封鎖を扇動したとしてデモ参加者4人を逮捕した。
各工業団地や日系企業などによると、一部の企業で門やガラスが破壊されるなどの被害があった。EJIPによると、19日から大規模デモやスウィーピングがあり、ほとんどの会社が操業停止しているとみられる。関係者は「企業側も対策に慣れてきたようだ」と話す。
労働組合総連合や傘下の金属労働者連盟(FSPMI)など他の労働組合が合同で参加し、動員力を見せつけた。EJIPでは、デモが起こった複数の工業団地の中で最多の約1万人が参加。午前7時から工業団地内の交差点を封鎖し、大部分の工場が操業停止に追い込まれた。EJIPのデモの参加者は「交渉が難航した場合、我々も高速道路の封鎖に踏み切る」と語った。
ソーシャルメディアを通じてデモに参加したという金属労働者連盟のバンさん(29)は「ブカシ県内にある数千社の企業の中で、経営者協会(アピンド)は最低賃金交渉に400社しか参加させていない」と、公平性がないことを主張。ブカシ市の最低賃金が290万ルピアで決定する見込みとなり、近隣のブカシ県でも同等の金額を要求している。
一方で「デモが長引くのは経営者・労働者双方にとって悪影響を及ぼす」と早期の和解を求める声もあった。(佐藤拓也、写真も)
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