大統領の意向反映 新経済閣僚の政策

 27日の閣僚就任式以降、各経済閣僚は優先的に取り組む政策を明らかにしている。前政権での取り組みの継続・加速に加え、港湾整備や投資の簡素化などジョコウィ新大統領の意向が色濃く反映された。

■港湾整備に注力
 リニ国営企業相は海運網「海洋高速」実現がジョコウィ大統領の掲げる海洋国家として発展するための最重要課題であるとして、港湾整備に注力する方針を示した。
 これに関連し、国営港湾管理の第1〜第5ペリンドの合併を新しい大臣としての「宿題」であるとし優先的に取り組む。他の国営企業の集約も前政権から加速させる。現在138ある国営企業を、同業種でまとめて持ち株会社制にし、最終的に14〜16のグループにする。
 大臣就任によって空席になった国家通信テルコムと国鉄、国営武器製造ピンダットの社長選定も短期的な課題。石油ガスのプルタミナもカレン・アグスティアワン前社長が辞任して以来、正式な社長は空席になっている。ほか、物流改善に力を入れる。
 
■投資の誘致、簡素化
 スディルマン・エネルギー鉱物資源相は27日、エネルギー分野の投資認可について「ワンストップサービスにする」と述べ、投資を誘致し、増大するエネルギー需要に対応する考えを示した。
 ジョコウィ大統領は27日の閣議で適切に対処しなければエネルギー不足に陥る可能性を指摘。スディルマン・エネ鉱相にボトルネックになっている問題を見つけ、早急に対処するよう指示したという。
 内務省も認可の権限を持つ地方自治体とも協議し投資の簡素化を目指す。ジョコウィ大統領はソロ市長やジャカルタ特別州知事時代にも許認可窓口の一元化に力を入れていた。

■食糧自給達成へ
 アムラン農業相はコメとトウモロコシ、大豆、砂糖を戦略的作物に指定。生産量を大幅に増やし、ジョコウィ大統領が公約に掲げた食糧自給を5年の任期中に達成する目標を掲げた。
 食糧自給の鍵になるものとして、インフラ整備による生産性向上に取り組む。新たに100万ヘクタールのかんがいを作り、300万ヘクタールを修復する。農地の集約化や機械化、農家への保険の充実を図る。
 アムラン農業相は農園などを運営する企業グループの最高経営責任者。実業家目線で農業の近代化を進めていく。

■財政バランスを改善 バンバン財務相は国内経済と財政をバランス良く改善させるとした。
 米国は29日、大規模な金融緩和の終了を決定しており、来年には利上げする見込みだ。最大の輸出先である中国は景気減速が鮮明になっている。主要輸出品目の石炭やパーム油などの価格も低迷するなど世界経済が不透明な中、財政規律を保ちながら、経済成長率を伸ばす必要がある。
 また課税能力を強化するため、新政権は財務省の下に国家歳入庁(BPN)の設立を検討している。

■付加価値政策を推進
 サレ工業相は資源の下流産業の育成のため、国内での付加価値を高める政策について「より迅速に実施する」と述べた。
 またジャワ島に集中する投資を分散させるため、ジャワ島外に少なくとも10の工業団地を優先して造成するほか、多くの雇用を生み出すため、労働集約型産業に力をいれるなど、前政権の政策を引き継ぐとした。

■工業の弱さ解消へ 
 ゴーベル商業相は東南アジア諸国連合(ASEAN)が経済統合を目指していることに触れ、「インドネシアは工業分野の弱さを解消する必要がある」との認識を示した。他省庁との連携を強化して輸出の増加も目指す。(堀之内健史)

経済 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly