ジョコウィ新大統領就任 祝賀パレードに3万人 新しい5年幕を開ける

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)氏(53)は20日、第7代大統領に、ユスフ・カラ氏(72)は第12代副大統領に就任した。任期は5年。就任式には歴代大統領や各国首脳のほかプラボウォ氏も出席し、議場は和解ムードに包まれた。約3万人が繰り出した祝賀パレードでは馬車に乗ったジョコウィ氏とカラ氏が手を振り、夜には人気歌手らの記念イベントに参加するなど、庶民派大統領の誕生を印象づけた。過去の政権交代では政情不安や新旧大統領の対立が生じたが、今回初めて平和的に大統領職が引き継がれた。 
 ジョコウィ氏は午前10時、各国首脳や国内の要人が出席した国民協議会(MPR)で就任演説し「海洋国家」として発展させるとの意欲を表明。「働く」「仕事」といった言葉を多用し、勤労の精神で国を指導することを誓った。また国民には、ゴトンロヨン(相互扶助)の精神で国造りへの参加を呼びかけた。
 就任式には7月の大統領選でジョコウィ氏に僅差で敗れて以来、新政権を脅かす野党勢力の指導者として台頭したプラボウォ氏が出席。ジョコウィ氏が歴代大統領の次ぎに名前を呼んで敬意を示し、プラボウォ氏が立ち上がって敬礼する一幕もあり、就任目前にジョコウィ氏自ら取り組んだ一連の和解工作が功を奏した格好だ。
 ジョコウィ氏は午後1時半ごろ、馬車に乗り換え、ホテルインドネシア前ロータリーからパレードを開始。カラ副大統領とともに馬車の上から市民の歓呼に手を振って応えた。モナス(独立記念塔)に面する大統領宮殿(イスタナ)に到着後、ユドヨノ前大統領からイスタナを引き継いだ。
 初めて庶民の中から出た大統領は、選挙戦を支えたアーティストらが主催するモナスでの祝賀イベント「ペスタ・ラクヤット(国民の祭典)」にも登壇。人気歌手のファンたちに親しげに語り掛けながら「インドネシアの繁栄のために一生懸命働く」と約束、観客に食事を振る舞った。夜には大統領宮殿の前庭でテレビ局のインタビューに応じたり、門の前に集まった市民と握手したりして市民と近い大統領になることを示した。
 「建国の父」スカルノ氏、「開発の父」スハルト氏の50数年の後、インドネシアは1998年にレフォルマシ(改革)時代に突入。ハビビ、ワヒド、メガワティ3大統領の激動の時代を経て、ユドヨノ大統領で民主主義の安定を得た。
 プラボウォ派との対立でも、民主主義の在り方が焦点になっている。直接選挙が生んだ新世代の政治家ジョコウィ氏はレフォルマシ継続を目指す。スハルト氏の元娘婿プラボウォ氏はスハルト体制復古へと軌道修正を訴える。ジョコウィ氏には対抗勢力に屈せず、民主主義の質を上げることが課せられている。
 人口2億5千万人、東南アジア諸国連合(ASEAN)の国内総生産(GDP)の4割を占めるインドネシアは、中印に次ぐ潜在性を指摘されてきた。2030年前後までは人口ボーナスによる高成長のチャンスを迎えている。19年までのジョコウィ新政権は確かな成長の土台を作ることが使命だ。(吉田拓史)

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