ビヌス大に2学科開設 九州の自動車専門校・麻生塾 日系企業への人材期待

 福岡県を中心に展開する九州最大の総合専門学校・麻生塾は西ジャカルタの私立ビナ・ヌサンタラ(ビヌス)大学に自動車工学専門の2学科を開設し、22日から講義を開始した。技術教育とともに日本人が重んじる「人間教育」も盛り込み、卒業後に日系企業で開発やマネジメントを担える人材育成を目指す。日本の専門学校がインドネシアの大学内にスクールを設立するのは初の試み。4年後の第1期卒業生に期待が集まる。  

    麻生塾は先月25日、ビヌス大学と共同で、学部に相当するアソウ・スクール・オブ・エンジニアリングを開校。(1)自動車や機械工学系のオートモーティブ&ロボティクス・エンジニアリング学科、(2)デザイン系のプロダクト・デザイン・エンジニアリング学科(各4年課程)を開設し、計12人が入学した。
 授業は全て英語で、力学の基礎から製図、ロボット工学までを学ぶことができる。エンジンや車体を使った製作実習も計画している。
 長年にわたり築き上げてきた実践的カリキュラムと実技指導力を生かし、海外展開を目指す麻生塾と、日本の本場の工学を取り入れたいビヌス大の利害が一致。スクール開校が実現した。運営に携わる伊藤宏一・事業開発グループ長(44)は「日本の技術をインドネシアの若者に伝えることは私たちの使命」と意気込み、さまざまな分野で貢献できる人材育成に力を入れる。
 オートモーティブ学科に入学したウィリアム・リムさんは当初、同大学のコンピューター・サイエンス学部を志望していたが、日本の工業技術を学べると聞き、方向転換した。「日本には素晴らしいロボット技術がある。インドネシアで人々の生活に役立つものを作りたい」
 学生らは工学の授業のほかに日本語も学ぶ。デザイン・エンジニアリング学科で指導する石崎豪さん(54)は学生の熱意に触れ「優秀な学生が多く、彼らの可能性を引き出したい」と胸を膨らませる。麻生塾は日本で「人間力の向上」を指針にしており、スクールにも適用。「時間厳守」「ごみ分別」など日本的慣習を理解した人材を育成し、日系企業のニーズを満たせるよう指導する。
 ビヌス大は、私立では国内最大の技術系大学。ジャカルタ特別州に五つのキャンパスを持ち、学生数は約2万7千人。麻生塾と共同でスクールのための新校舎建設も進めており、来年度には10人の入学が決定ずみ。さらなる在学者数増を目指し、日本の工業技術を修得できる学科として授業内容の拡充を図る。卒業生の日系企業への就職も支援し、即戦力となる人材教育を進める。(西村百合恵、写真も)

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