2030年、都市居住2億人 インフラ開発間に合うか

 2030年にインドネシアの都市居住者が人口の7割に達するとの予測が出た。想定される増加に対して、都市開発は間に合うのか。経済紙インベスターデイリーなどの報道、公表データをまとめた。 
          
 インドネシアの人口は2013年時点で2億4990万人。出生率2.37。トリサクティ大のヤヤト・スプリヤトナ教授は2030年に人口は2億9740万人に達し、うち70%にあたる2億700万人が都市に居住する見通しと話した。現在の5割強から20ポイント近く増加する計算だ。ジャワ島の人口は全体の55%にあたる1億6400万人に達するとも予測した。
 ヤヤト教授は都市化の負の側面を克服するため、「ジャカルタは隣接自治体、中央政府と交通機能、区画整理、住宅、水資源の管理、環境の分野で協力することが必要だ」と話した。
 都市化は世界的な潮流。都市化率は富裕国では10年時点で70〜80%に達し、50年には9割が都市に住むとの予測もある。急速な都市化は住環境の悪化や交通渋滞などを引き起こす。
 首都ジャカルタはすでに住環境、交通状態とも厳しい水準にある。英プライスウォーターハウスクーパースの「世界の都市力比較2014」では、世界30都市中「生活の質」でジャカルタは26位、「保健安全」29位、「ビジネス環境」27位、「経済的影響力」28位と低い順位が並んだ。富裕国の大都市を中心とした比較だが、ライバルのクアラルンプール、シンガポールに差を付けられている。
 首都圏の人口増加は、ジャカルタ本体よりも郊外のジャボデタベックで著しい。ジャカルタは過去10年間、毎年1.3〜1.4%増、3万4千〜3万5千人増だが、ジャボデタベックは毎年3%超と全国平均の1.49%を上回る速度で増えている。
 インドネシア大学人口動態研究所のソニー・ハルマディ所長は都市化のスピードをヤヤト教授より遅いとみて、2035年に人口の66%が都市部に集中すると指摘した。「ひとつの都市ですべての機能を担うべきではない。都市ごとに商業、行政、文化、工業と特化していくことが重要だ」と提言した。
 バンクインターナショナルのエコノミスト、ジュニマン氏は農村開発で住民を農村に留めるインセンティブをつけるべきと指摘。今年成立した村落法に基づき各村落への1億ルピア(約900万円)の直接配分は短期策にすぎず、次政権は農業へのてこ入れが必要になると話した。(吉田拓史)

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