先人の功績に思い深く ジャカルタで納骨慰霊祭「もっと日本人の参加を」 読経の下、全員黙とう

 中央ジャカルタのジャティ・プタンブラン墓地で23日、ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)個人部会主催の日本人納骨堂秋季慰霊祭が開かれ、JJCの野波雅裕理事長、谷崎泰明駐インドネシア日本大使ら39人が参列した。全員で黙とうをささげ、長野県久遠山・延壽院の伊佐榮豊(えいほう)住職の読経の下、納骨堂に入り焼香した。          

 日本人納骨堂は1931年、娼婦として日本からインドネシアへ渡った本名もわからない「からゆきさん」を供養しようと、日本人会有志7人が発起人となった当時の「バタビア日本人会共済会」が建立した。ジャカルタ市内に点在していた「からゆきさん」の遺骨や墓碑などを10年かけて集め、納骨堂に安置したという。
 第二次世界大戦後、ジャカルタ市内で他にも参拝者がなく荒れたままとなった墓が散見されるようになったため、見兼ねた邦人有志が59年に日本人墓地保存会を結成し、在留邦人の寄付を仰いで散在していた遺骨などを日本人納骨堂に集めた。以後、60年から毎年春と秋の2回、慰霊祭を開いており、現在は277人が名を連ねている。
 参列者は二人ずつ堂内に入り、読経が響く中、焼香し故人の冥福を祈った。一行は、第二次世界大戦中にオランダとのジャワ攻略戦で戦死した「廣安梯(こうあんてい)隊」30人の墓碑があるタナアバンのプラサスティ公園も訪れ、読経と焼香をした。
 午後からは中央ジャカルタのJJC会議室で伊佐住職による講演会があり、「日本人の特徴」をテーマに戦前の日本人の生活や精神を紹介。伊佐住職は「人はいろんな縁で生かされている。相手を受け入れて理解することが重要」などと話し、「敬う」気持ちの大切さを現代人へ向けて説いた。
 毎年参加しているレイコ・ルスタムさん(81)と武藤賢司さん(80)は、「この場所を知らない人や、一度訪れたら満足して足を運ばない人ばかりで参加者が少ない。もっと多くの日本人に参加してほしい」と口をそろえた。
 アル・アズハル大学日本学科のディアナ・ナカガワさん(20)はインドネシア人だが、祖父が元日本兵でカリバタ英雄墓地に眠っている。日本の宗教を研究しており、同大教授と学生2人と一緒に慰霊祭を見学。「今日は日本人の宗教の一部に触れ、日本人が今まで守ってきたものが何なのか知りたい」と熱心な視線で参列者を見守っていた。(毛利春香、写真も)

日イ関係 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly