「副知事」で与党駆け引き 闘争の候補かグ党独占か  ジャカルタ議会

 4月総選挙で当選したジャカルタ特別州議会議員の就任式が行われ、州政が本格的に動き出した。アホック現副知事の知事への昇格に伴う、新副知事の選出が焦点だ。闘争民主党(PDIP)とグリンドラ党は2012年の州知事選では連携したが、新副知事ポストを巡っては駆け引きを始めた。「選出までには数カ月かかる」(州議会幹部)おそれもあり、予算審議への影響も懸念される。

 新議員106人が25日に正式就任し、規定により州議会第1党のPDIPと第2党のグリンドラ党から暫定の正副議長が指名された。暫定議長は新議長の選出に向けた議事進行を担当する。新議長の下で、次期大統領に決まったジョコウィ知事の辞職承認や新副知事の選出が話し合われる。
 ジョコウィ知事はレバラン(断食月明け大祭)後にも辞職したい考えを示していたが、正式には議会の承認が必要になるため、新議長の選出を待って辞職願を提出する方針だ。
 ジョコウィ氏の辞職に伴い、規定によりアホック副知事が知事へ昇格する。議会は複数候補から投票で後任の新副知事を選出する方針で、▽東ジャワ州ブリタル市のジャロット・シャイフル・ヒダヤット前市長▽ボイ・サディキン前州議会副議長(父が元州知事)―らが有力視されている。アホック氏は個人の考えとして、ジャロット氏やジャカルタ州知事補佐官(環境担当)のサルウォ・ハンダヤニ氏が適任だと話している。
 副知事候補はPDIPとグリンドラ党の協議で決定される見通し。しかし、モハマド・タウフィック暫定副議長は選出が長期化するとの見通しを示すなど、難航を予想する声も聞かれる。
 両党は先の州知事選でジョコウィ―アホック組を擁立し、勝利した。これを背景にPDIP側には、党所属のジョコウィ氏の辞職で生じる空席は同党で埋めるのが当然とする考えがある。エフェンディ・シンボロン副党首は地元紙に対し「もしグリンドラ党出身者が副知事に選出され、アホック氏とともに正副知事職を独占する事態になったら非倫理的だ」と警戒を強めている。
 アホック氏はPDIPの主張に同調しているが、グリンドラ党からは「わが党も候補を出す権利がある」(モハマド暫定副議長)との声が浮上。同党の中には「PDIPが独自候補で副知事を選出しようとするなら、アホック新知事には残り任期を副知事なしで働いてもらう」と強硬態度を示す議員もいる。
 グリンドラ党側から副知事候補の擁立論が持ち上がっている背景には、大統領選で同党を中心に結成したメラプティ連合の存在がありそうだ。国会で多数派を形成した同連合は州議会でも多数派で、投票になれば優勢だ。
 ただ、州政ではイスラム系の福祉正義党(PKS)や開発統一党(PPP)はキリスト教徒のアホック氏と折り合いが悪く、中央ジャカルタ・タナアバンの露天商移転問題でも対立した。連合内で足並みの乱れも起こり得る。
 年内には2015年の州予算審議が控えている。副知事の選出を巡って議会が紛糾すれば影響は必至だ。(田村隼哉)

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