【ジャカルタ フォーカス】 日用品伝統市場が改築へ 老朽化で立ち退きへ パサール・ベンヒル 中央ジャカルタ

 ジャカルタ特別州のアホック副知事は19日、中央ジャカルタ・ブンドゥンガン・ヒリルにある伝統市場(通称パサール・ベンヒル)を活性化するために改築することを明らかにした。いつまで営業できるのか。市場で働く店員や利用客の間には戸惑いが広がっている。

 ジャカルタ特別州政府は2005年にパサール・ベンヒルの改築と店舗の一新を計画した。立ち退きを指示された店主らが不当だとして、13年11月に同市場を管理する州営パサールジャヤ社を行政判所に訴えたが今月18日、行政裁は店主らの訴えを退けた。
 同市場は1974年に建てられて以来、建て替えがされておらず、老朽化が進んでいる。布生地や宝石、日用品など100以上の店舗が二階建てのビルで営業している。アホック副知事は19日、同判決に対し「法的な強制力を持っている。すぐにでもベンヒルの一新に取りかかれる」と話したが、詳細な計画は明らかにされていない。
 記者が訪れた20日午後4時ごろ、市場内は閑散とし、店から笑い声が聞こえてくる。「私が働く前から、このような風景。老朽化は進んでいる」と2階のヘアサロンで20年間働いている店員のイタさん(52)は話す。薄暗い店内には客がいない。散髪代は2万ルピア。「客は一日3人くらい。給料は月に50万ルピアほど」と話す。給料は十分でなく、他にも仕事を掛け持ちし、生計を立てているという。「ここが改築になっても、私たちはここでまた働けるはず」と期待を抱いていた。
 市場の1階にはティッシュペーパーや紙皿などを扱う店や菓子の店などが並ぶ。「会社から近く、値段も手頃だからよく買いにくる」。南ジャカルタの会社員のダルヤさん(50)は同日夕方、会社で使う食器を買いに来た。「食器の質がよく、店主も穏やかな人だから通っている」という。応対していたジョスリザルさん(49)は30年以上ここで働いている。「立ち退きになることも考えている」と話し、「タナアバンにある兄弟の洋服屋で雇ってもらえるよう、話をしてある」と話した。(山本康行、写真も)

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