縁日祭、実力者が150万円要求 金払わねば動かない慣習、困惑 竹谷委員長、SNSで実情訴え 負けるな/悪習断ち切れ インドネシア人ら

 ブロックM縁日祭の実行委員会は先月の縁日祭の前に、地元実力者から迷惑料150万円を要求された。実行委はこれを支払い、祭りを無事終えたが、今月3日、竹谷大世実行委員長(39)が事のいきさつをSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で発言。閲覧したインドネシア人が「縁日祭が終わってしまう」と憤慨し、意見が飛び交った。10日現地メディアが報道し、ジャカルタ特別州のアホック知事代行の耳にも入った。竹谷さんに話を聞いた。
 縁日祭2日前の先月22日夜、竹谷さんのスマートフォンに地元の実力者からメッセージが入った。多額の迷惑料の要求だった。「払わなければ開催させない」「金を払わないと人は動かないんだ」。要求額は1億5000万ルピア(約150万円)。何度もやり取りを重ねたが、らちが明かない。開催は迫っている。中止したら大混乱になる。「ここでやめることはできない」と竹谷さんは判断し、支払いに応じることにした。開催前日に50万円相当を振り込み、残額を終了後2回に分けて振り込んだ。
 実力者はこの要求の意味について、「プロフェッショナルフィー(手数料)」と言った。竹谷さんは「いろんなものを抑えこむためのお金」と理解した。
 竹谷さんは第1回から実行委員長を務め、開催中の清掃業務や警備、電気の使用などで前回約160万円相当を、別の地元有力者に支払ってきたが、今年はそれとは別の新たな要求だった。来年はどうなるのか。祭りの存続について悩んだ末に、この経緯を今月3日、自身のフェイスブックページに公開した。
 すぐ反応があり、日本人から「お疲れさま」「頑張った」という書き込みが相次いだ。先週後半になりインドネシア人がこの発言を見つけて流れが変わる。インドネシア語に翻訳され、一気にネット上で広がった。「負けないで」「こんな事で無くなってしまってどうする。悪い風習を断ち切るきっかけにしてくれ」と応援するコメントがインドネシア語で続々寄せられた。中には「縁日祭が無くなったらコスプレできない」という声もあった。
 多数の声に地元メディアが動き、記者の質問に9日、アホック知事代行が答え、コメントが英字紙ジャカルタ・ポストに掲載された。知事代行は「職員による不正を見た人は電話してほしい」と語っている。
 報道を受け、10日午前竹谷さんの元に実力者が現れた。「祭りを来年もやろう。応援する」と態度を一変させた。
 竹谷さんは「金を払わないと動かない、という習慣に嫌気が差した。自分としてはもうこれ以上ことを大きくするつもりはない。インドネシアの若い人がネット上で応援してくれたことがとてもうれしい」と話す。
 150万円は寄付として実行委員会に報告し了承され、既に決算処理されている。「アホック知事代行には、イベントをやるときに不要な金がかからないようにしてほしいと言いたい」と竹谷さんは語る。
 来年の縁日祭については現在、開催する方向で考えているという。祭りは例年開催前日の深夜に、4時間程の短時間で舞台を作り、飾り付けをする。徹夜に近い仕事を、日本人、インドネシア人合わせて300人のボランティアでやっている。「そんなみんなのためにも、変な形で終わらせたくはないです」と竹谷さんは話す。
 第5回リトル東京ブロックM縁日祭は先月24、25日の両日、南ジャカルタのブロックMで開かれ、21万人(延べ人数、主催者調べ)を超える来場者でにぎわった。日イ市民の交流の場として定着しつつある。第3回から南ジャカルタ区の公認イベントとなり、日本大使館が後援している。(阿部敬一、写真も)

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