産官学連携で日本講座 在留邦人15人が講演へ UIとプルサダ大

 インドネシアの大学生に日本に幅広い関心を持ってもらおうと、インドネシア大学(UI)とダルマ・プルサダ大学は日本講座を開設した。日本大使館や各機関、企業が両大学と連携、12月までの4カ月間、産官学の各分野を代表する在留日本人計15人が講演する。12日に行われたUIでの初回講義では、日本語学科だけでなく、各学部の学生が多数参加し、最前線で活躍する講演者との間で活発な議論を展開した。(小塩航大、写真も)
 
 西ジャワ州デポックのUI人文学部日本研究センターの講堂で開かれた講義では、鹿取克章・駐インドネシア日本大使が講師を務め、「日イ関係―過去・現在・未来―」と題して講演した。同学部のほか、政治社会学部や法学部など約150人の学生が受講した。
 冒頭、鹿取大使は1958年の日イ国交樹立以来、戦後賠償による留学生受け入れや大型公共事業の実施などで日イが深い関係を持っていることを説明した。1974年、田中角栄首相(当時)が来イした際、反日暴動に発展したマラリ事件にも言及。「当時2900人の日本人が首都圏を中心に居住していたが、重傷者はいなかった」「同事件は日本人がインドネシアの伝統や文化に関する理解を深める契機となり、以降、相互理解や友好関係を深めてきた」と述べた。
 貿易や外交などでインドネシアや東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本の関係が深まってきた経緯をたどった上で、経済成長促進・拡大マスタープラン(MP3EI)や、両国が協力して進めている首都圏投資促進特別地域(MPA)構想に言及し、「インドネシアはインフラ整備など緊急の課題を抱えている」と指摘。最後に政府レベルだけでなく、企業や市民レベルで両国間の交流を活発化させていく重要性を強調した。
■「有意義な試み」
 質疑応答では学生たちが一斉に挙手。「日本や中国、韓国との間には歴史的問題がある。お互いが協力していくことは可能か」「日本車メーカーは中部ジャワ州ソロの高校生が開発した国産車エスエムカを支援しないのか」などと、多岐にわたる質問が出た。
 人文学部韓国語学科のヌライ二・ラハユニン・ウランさん(23)は「韓国と日本の間にある歴史認識の違いに興味があった」と聴講理由を説明。政治社会学部政治学科のヒルマン・サラフディン・グマイさん(22)は「1つの国を代表する人々から聴講できる機会はなく、とても有意義な試みだ」と話した。
 鹿取大使は「学生たちはとても熱心に質問してきた。彼らが日本へ行ってインドネシアについて話したり、インドネシアで日本の魅力を伝えたりしてほしい」と語った。
 これに先駆け、6日に東ジャカルタのダルマ・プルサダ大学で第1回の講義を開催。下川眞樹太公使が講師を務め、14日の同大第2回講義では鹿取大使が講演した。
 日本講座は9―12月の間、15人の講師陣が両大で各13回の講義を実施。UIでは人文学部や他学部の学生を対象に3単位、ダルマ・プルサダ大では日本語学科の学生のみで2単位を取得できるシステム。各講師の資料を掲載した教科書も販売し、受講生以外の学生にも日本に関する理解を深めてもらう企画だ。
 今後、国際協力機構(JICA)、国際交流基金、国連世界食糧計画(WFP)、ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)、国際協力銀行(JBIC)、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)社、三菱東京UFJ銀行、日本貿易振興機構(ジェトロ)、静岡大学、法律事務所、朝日新聞、読売新聞などからの代表者が登壇する予定。

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