連立模索は3組か 合従連衡の駆け引き続く

 総選挙は10日朝までに大勢が判明した。開票速報では闘争民主党(PDIP)が得票率19.72%で第1党、ゴルカル党(14.57%)、グリンドラ党(11.58%)が続いた。各党間で大統領選に向けた連立を模索する動きも激しくなってきた。専門家はPDIPやゴルカル党を中心に交渉が進むと分析する。
 第1党に返り咲いたPDIPのジョコウィ氏は9日、「議席数などに関係なく他党と意見交換していく」と語り、各党との接触を認めた。ゴルカル党のバクリー氏とも過去に連立を協議していたことが明らかになり、ジョコウィ氏は「両党は政治思想を共有している。協議の余地はある」と話した。ただ「まだ連立の段階にはない。この国が抱える問題と解決策を話し合うのが先」という。
 一方のバクリー氏は10日の集会で、PDIPと連立する可能性がないことを明言した。インドネシア調査研究センター(LSI)のルリ・アクバル氏は「PDIPとゴルカル党はすでに大統領候補を擁立している上に、(得票率を背景に)交渉力も高いため両党が連立する可能性は低い」と見る。
 与党第1党から第4党(10.4%)に転落した民主党の幹部ルフット・シトンプル氏は10日、地元紙に戦略を明かした。▽民族覚醒党(PKB)などと連立しユドヨノ氏の義弟エディ・プラモノ氏とPKBのムハイミン・イスカンダル党首を擁立▽PDIPと連立しジョコウィ―エディを擁立▽グリンドラと連立し、プラボウォ氏と自党のダフラン氏かギタ氏を擁立―の3つのシナリオがあるという。同氏は党首のユドヨノ氏が「キングメーカー」になると話した。
 福祉正義党(PKS)のティファトル・スンビリン通信情報相は10日、ツイッターにイスラム政党で連立を組むべきだと投稿。同党や国民信託党(PAN)などイスラム色の強い5政党の得票率は計30%を超える。ただ、インドバロメーターのモハマド・コダリ氏はイスラム政党について「有力候補が不在で、政党間の調整が難航するだろう」と分析している。
 LSIのデニー・ジャヌアル・アリ氏は、大統領選で3組の正副大統領候補が出馬することになると予想。PDIPとゴルカル党を中心とした二大勢力に加え、グリンドラや民主党を中心とした第三勢力が連立の軸になるとの分析だ。同氏は、副大統領候補には▽集票能力▽党内政治力▽政権運営能力▽思想的なバランス▽資金力―で優れている必要があると指摘した。
 各種調査でジョコウィ氏個人に40%前後の高い支持が集まっているが、前回大統領選で当選したユドヨノ氏は60%の支持を得ており、「ユドヨノ氏は誰と組んでも勝てる状況だったがジョコウィ氏は違う」(同氏)という。
 5月上旬には議席数の配分が確定する。前回の総選挙でゴルカル党の得票率は14%だったが、国会議席率は19%だった。大統領候補を擁立できるのは選挙法の規定で、25%以上の得票率、もしくは20%以上の議席保有率を得た政党か政党連合と定められており、議席率の判明で連立交渉に影響が出る可能性も残っている。各党の駆け引きが続く。(田村隼哉)

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