温暖化で1500島水没か 50年までに、外国政府も懸念

 2030年までにスカルノハッタ国際空港(バンテン州タンゲラン)、50年までに国内の1500島が海に沈むー。地球温暖化に伴う海面上昇が引き起こす悪影響に多くの外国政府・国際機関が懸念を寄せ、インドネシア政府に早急な対策を呼びかけている。
 インドネシアは海岸線の全長が約9万9千キロに達し、世界で最も長い海岸線を持つ国の一つ。首都ジャカルタは総面積の約4割が海抜以下だ。英国のリスク評価会社メイプルクロフトは、温暖化が国民や経済、政府に与える影響を測る14年度版「気候変動脆弱(ぜいじゃく)性指数」で、インドネシアをカンボジアやフィリピン、バングラデシュなどと共に、海面上昇の危険性にさらされる可能性が高い国に挙げた。
 またケリー米国務長官は16日に南ジャカルタで講演し「ここは温暖化の最前線だ。海水面50センチの上昇で、ジャカルタの半分が水に沈む。海水温の上昇で、漁獲量も4割減少すると見込まれる」、温暖化対策の遅れが、資源や経済へ大きな打撃につながると訴えた。
 インドネシアの温暖化対策は外国政府から高い関心を集める。増加する中間層の経済力を見込み進出する国際企業が多く、対策の遅れがそれらの企業活動にも影響を与えるからだ。メイプルクロフトのジェームス・アラン環境部長は「政府が温暖化による経済活動への悪影響を軽減する取り組みを示せれば、逆に投資を呼び込む機会となる」との見解を示した。
 国際機関は、海面上昇で最も打撃を受けるのが貧困層だと指摘する。アジア開発銀行(ADB)の気候変動専門家アンチャ・スリニヴァサン氏は「今世紀末までに海面が90センチ上昇すれば、海岸線から3キロ以内に暮らす住民4200万人が影響を受ける」との観測を示した。
 海洋水産省によると、05〜07年の間に、アチェや北スマトラ、パプア、リアウなどの州で計24の島が水没した。その多くが小島だが、地方政府と連携し、対策をとるとの見解を示した。
 インドネシア政府は近年、国内に1万7508の島があり、うち約6千が有人島とする見解を取り、メイプルクロフトの調査結果もそれに基づく。ただ、国際法と異なる数え方のため、満潮時に水没する物や岩礁、砂州も含まれている。(宮平麻里子)

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