安倍健君、佐渡ヶ嶽部屋に入門へ 親方に電話で直談判、インドネシア初 サテ80本で体作り

 インドネシア初の力士が誕生する日が近い。ジャカルタ日本人学校(JJS)中学2年生の安倍(あんばい)健くん(14)は4月から大相撲の佐渡ヶ嶽部屋(千葉県松戸市)のけいこに参加する。体重80キロの健くんは「立派な力士になる」と目を輝かせた。 

  小さい時から憧れ
 日本人の父とインドネシア人の母を持つ健くんは、小さい頃から日本の相撲に憧れていた。テレビの中に映る力士の体と体が激しくぶつかる取り組みを見ながら、「いつかこの舞台に立ちたい」と思いを強くした。
 「力士になる」と決心したのは昨年8月、イストラ・スナヤン屋内競技場で初開催された大相撲のジャカルタ巡業だった。健君は子供けいこに参加した後、相撲関係者の取り計らいで憧れていた琴奨菊関と初対面した。琴奨菊関から「一緒に相撲をやろう」と背中を押され、覚悟が固まった。色紙には電話番号と激励の言葉も記されており感激した。
 巡業後、すぐに日本へ電話で連絡し佐渡ヶ嶽親方へ「力士になりたい」と直談判し、親方は「日本に来なさい」と快く了解してくれた。相撲の経験は無いが、「力士の道を行くと決めたら進むだけ」と健くん。
 両親も健くんの決断に賛成した。母親のケニさんは「息子の選択した道を信じる。日本でつらい事もあるかもしれないが、頑張ってほしい」と力を込める。4月から千葉県浦安市にある叔母宅から地元中学に通い、松戸市の佐渡ケ嶽部屋で練習に励む。

1日5食、鉄棒で筋トレ
 健君の食欲はさすがにすごい。食事は1日5回。朝、昼、部活後、夕食、夜食。夕食にご飯とパスタとうどんを平らげることも珍しくない。リトルリーグの試合の合間にはサテ(焼き鳥)80本を、屋台で買って食べる。
 日本への出発が近づく今も精力的に基礎体力の強化に取り組む。小学生のときはテコンドーを習い、今は小学校から続ける野球で体を動かす。10キロの鉄棒を使った筋力トレーニングにも励む。体重の割には筋肉質で足腰も強そうだ。力士のような体を作るには「体力を蓄え、体重を増やすことが重要」と話す。日本の中学校の部活動では柔道で体力を高めるつもりだ。「柔道の技を相撲で使うことができる。一日一日を有益に使うことが大切」と決意を語った。ケニさんは「小さいときから一度決めたら突き進む子」と振り返る。

  1年後に新弟子検査
 日本では土日や夏休みなどを利用し佐渡ヶ嶽部屋で練習する。来年3月の中学卒業を待ち、新弟子検査を受ける予定だ。身長と体重の基準はすでに満たしている。検査に合格後、晴れて正式に入門となる。
 佐渡ケ嶽部屋は大関の琴奨菊関や関脇の琴欧州関(ブルガリア出身)ら有名力士を抱える名門。約40人の力士が所属し角界でも大所帯の一門だ。これまでにもカナダやインド、中国出身の力士を受け入れてきた実績があり、女将を務める鎌谷真千子さんは「日本の相撲文化に慣れていけるかとか、親御さんと離れることで少し不安もあると思う。健くんが練習に打ち込めるよう支援していきたい」と話した。
 健くんが得意技として磨きたいのが「がぶり寄り」だ。相手力士のまわしをつかみ土俵外へ押し出す技で、憧れる琴奨菊関の得意手だ。「攻めが好きな僕に合っている。強い力士にも当たり負けない強靭な足腰を生かした相撲で観客を沸かせたい」と期待を膨らました。
▼プロフィル
 安倍(あんばい)健くん 1999年7月12日、ジャカルタ生まれ。JJS中学2年。身長174センチ、体重80キロ。日本人の父とインドネシア人の母と妹の4人家族。(小塩航大、写真も)

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