【よく分かるインドネシア選挙特集】 改革と懐古の分かれ道 (2014年01月06日)

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 今年は5年に一度の選挙の年。4月に総選挙、7月には大統領選の投票がある。スハルト退陣後の民主的な総選挙は4回目、直接大統領選は3回目。有権者が2億人近くに達するマンモス選挙は毎回変更が加えられ、複雑化している。大統領候補を擁立できるかは、総選挙の結果次第。今後のインドネシアの政治的安定や経済成長の行方は10月に就任する新大統領の肩にかかっており、世界の注目を浴びている。今回の特集で総選挙の仕組みと大統領選の展望を概説する。

■総選挙解説 比例77区争う
  国会、地方代表議会(DPD)、州議会、県・市議会の議員を一斉に選ぶ、5年に一度の総選挙。有権者1億8656万人が今後5年の国、地方政治のすう勢を一挙に確定する。
 国政選挙は比例代表制を採用。全国34州の77選挙区に人口に応じた議席が割り振られている。大票田は有権者3千万人規模の西ジャワ州、東ジャワ州、中部ジャワ州の選挙区。560議席に対し、国会議員候補は6607人に上る。
 09年総選挙から非拘束名簿方式を導入。政党から個人名への投票に切り替わり、選挙資金の高騰を招いた。多党乱立を防ぐため、参加政党の要件を厳しくした。参加政党は民主化以降最少の12政党に減った。しかも全国得票率3・5%以下の政党は議席を得られない。
 総選挙委員会(KPU)が運営し、総選挙監視庁が選挙違反を監視するが、運営、監視の力が弱いとの見方がある。ジョコウィ人気の闘争民主党が99年総選挙以来の勝利をうかがう。支持率2位のゴルカル党は汚職事件の影響に注目が集まる。国会第8党のグリンドラ党は3位まで順位を上げ、躍進の機会をうかがう。前回の勝者・民主党は大きく支持率を下げている。特別自治のアチェ州では12党のほか、地方政党3党が州、県・市の議席を争う。DPDは各州から4人の代議士を選ぶが、地方自治に関する法案の提言など権限が限定的な機関。(吉田拓史)

◇比例代表制
 有権者は立候補者個人にではなく各政党に投票し、各党の得票率に応じて議席を配分する。非拘束名簿方式では、その議席を得票の多い候補の順番に獲得する。日本の参院選でも採用されている。小選挙区制とは逆に、死票が少なく民意がより正確に反映されやすい。多党化が進みやすい選挙制度。

■大統領選展望 ジョコウィの出馬は?
  正副ペアで立候補する大統領選は7月9日に実施される。大統領は3期続けることはできず、任期満了となるユドヨノ大統領に代わる候補として、ジャカルタ特別州のジョコウィ知事の動向が注目を集めている。
 新時代のリーダーとしてカリスマ的人気を誇り、州知事に当選後、地元メディアで大統領選にも担ぎ出されるとの報道が相次いだ。直近の世論調査では2位に20%以上引き離し独走。ジョコウィ氏が所属する闘争民主党(PDIP)だけでなく、民主党やゴルカル党などの支持層から党を超えた支持も集めている。
 PDIPはメガワティ党首を大統領候補に立てるか、ジョコウィ氏を立てるかで揺れている。しかしこれまでの選挙を見ると、インドネシアで有権者は政党と関係なく、候補者個人を選んで投票する傾向にある。そのために最近ではジョコウィを推す声が高まっている。CSIS(インドネシア国際戦略研究所)の調査ではジョコウィ氏を擁立すれば、29・9%の有権者がPDIPに投票するという結果が出ており、大統領候補を単独擁立できる条件の「国会議員選挙の得票率25%以上もしくは国会の議席率20%以上」を超える可能性がある。世間は党で最終的な候補者擁立の権限を持つメガワティ党首に注目する。
 ジョコウィ氏が注目される前に有力視されていたグリンドラ党のプラボウォ・スビアント最高顧問の支持率は下落しており、党単独での勝利は見込めない情勢。12月には民主党党首でもあるユドヨノ大統領に接近し、軍出身者同士の連携を視野に入れるが、民主党も衰退傾向にあり、あまり効果はないだろう。(高橋佳久)



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