「主役」中国が矢面に 南シナ海問題で 投資・貿易で補填狙う ASEAN関連首脳会議開幕 (2013年10月10日)

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 東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議が9日、2日間の日程で、ブルネイのバンダルスリブガワンで開幕した。ASEANは日本や中国、米国などとも首脳級の会合を開催。オバマ大統領のアジア歴訪取り止めで存在感を増した中国は、南シナ海問題での各国からの批判を乗り越えようと躍起になっている。
 同日発表したASEAN首脳会議の議長声明では、中国と一部加盟国とが領有権をめぐって対立する南シナ海での紛争を未然防止するための原則を記した「行動宣言」にある「完全かつ効果的な履行」を求めた上で、法的拘束力のある「行動規範」について、実質的協議を進めることに期待した。中国とASEANが先月中旬、行動規範策定に向けた協議を開いたことを歓迎した上で、「早期に結論を出すため、中国との公式協議が加速することを期待する」と記した。
 安倍首相は同日の日ASEAN首脳会議で、「力による現状変更の動きを懸念している。国際法に基づいて解決されるべき」と改めて指摘した。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議会期中のバリで個別に会談したユドヨノ大統領、ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席に呼び掛けたのと同じ文句を使い、「ASEANが一体性を保って対応することが重要だ」と強調。ここのところ、対立が激化するフィリピンを除くASEAN主要国との首脳外交を活発化し、「分断戦術」を取る中国をけん制した。
 これに対し、李克強首相は中ASEAN首脳会談で、善隣友好協力条約締結を呼び掛けるなど、南シナ海を含む両者の平和で安定した協力関係の構築に意欲を見せた。だが、肝心の問題への態度は変わらず、「問題に直接関係のある国と交渉や協議をする」と語り、ASEANが求める多国間交渉ではなく、二国間での解決という中国の持論を展開した。
 李首相が強調したのは経済面の関係強化。南シナ海問題できしむ関係を経済で補う狙いが透けて見える。中国の対ASEAN輸入は2020年までの8年間で急拡大できるとし、10年1月に発効したASEAN中国自由貿易協定(ACFTA)について、ASEAN側が歓迎している強化への交渉も呼び掛けた。投資面でも20年まで千億ドル(約9兆7千億円)以上を投資するとうたい、インフラ開発への関与、金融面での協力深化も訴えた。
 ACFTAが適用されるASEAN先行加盟6カ国で対中貿易赤字を抱える国も多く、不満が出ている。ASEAN関連首脳会合に先立ち2日、ジャカルタでユドヨノ大統領と会談した習近平国家主席は、開発が遅れている東部インドネシア地域で複数の工業団地建設で協力することを発表。中国企業からの投資が増すことで、2012年に77億ドル(約7500億円)に達した対中貿易赤字の縮小につながるとインドネシア側も歓迎していた。
 オバマ大統領の代理で出席したケリー国務長官も同日、「オバマ大統領の(アジアへの)リバランス(再均衡)と関与は将来まで続いていく」と米国の関与を打ち出したが、ASEAN加盟国に響いたかは不透明だ。(ブルネイ・バンダルスリブガワンで吉田拓史、道下健弘)

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