【じゃらんじゃらん特集】天然染料の手織り布 バリ島ウブド「命の糸」 伝統技法の復活と保存も

 インドネシアの手工芸品にイカットと呼ばれる手織り布がある。織糸の一部を糸でくくって防染し染め分け、これで布を織ったものだ。「Threads of Life(命の糸)」は、イカットの芸術性と文化的価値に注目したイギリス人のウィリアム・イングラムさんらがバリ島ウブドに開いたギャラリー。現在、カリマンタン、スラウェシ、スンバなど12の島の協同組合から直接買い入れたイカットやバティックを展示販売しながら、天然染料の使用など先祖代々伝わる技法の保存を支援している。   
 ギャラリーでは希望に応じてイカットやバティックに関するセミナーが開かれている。この日はスタッフのリアさんが、インドネシア各地の布を広げながら織り方や柄の特徴、本物の見分け方などについて説明した。
 「これは世界的にも珍しくインドネシアではバリ島でしか織られていないダブルイカット(縦横技法)の布地。霊的なエネルギーが宿っているとされ、病人や病気のウシの身体に巻いたりしました」
 壁に掛けられたさまざまな柄の布は天然染料とは思えないほど鮮やかで、手織り布が持つ独特な重厚感がある。一枚一枚に用途や文化的背景を説明した一文のほか、糸を紡いだ人、染めた人、織った人の名前、生産された時期が明記されている。
 「柄や織り方についてこちらから指導することはありません。逆に彼女たちに、昔はどんなものを織っていたのか、どこかに古いものは残っていないかと尋ねるのです。それを再現し、今に復活させるのです」とイカットの歴史に詳しいウィリアムさんは話す。アンティーク物は「地域で保存すべき財産」として扱っていない。
 織りの技術と並んで重要なのは染料だ。木の根や皮などを原料とする天然染料の場合、樹木の持続性を考えなければならない。そのための知恵を出し合い、化学染料に頼らない染めを徹底している。
 ウィリアムさんによれば「1点だけ、赤の化学染料をほんのわずかに使った布を展示しています。しかしこれだけでも市場価値が大きく下がってしまうので、今は天然染料だけで染めています」とのことだ。
 ギャラリーには布地だけでなく、布地を加工した衣服や小物、籠なども置いてある。ビデオの上映や本も販売。セミナー(1〜2時間、1人7万5千ルピア)は要予約。  (北井香織、写真も)

Threads of Life 
Jl.Kajeng 24, Ubud,Bali
電話:0361-972187
営業時間:10:00〜19:00
ニュピを除いて毎日

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