従業員に通知せず撤退 工場操業停止、732人路頭に迷う バタム島トゥナン工業団地 コイル生産・太陽光機現法

 リアウ州バタム島トゥナス工業団地内にあるコイル生産・太陽光機(本社・東京都府中市)の現地法人「サン・クリエイション・インドネシア(SCI)」で、6月下旬から、日本人幹部が従業員に通知せず姿を見せなくなり、工場が生産活動を停止したことが分かった。従業員は連日、バタム市議会などで未払い分給与の支払いなどを求める抗議活動を展開している。

 従業員によると、6月24日に日本人3人がバタム島を離れたとみられ、残ったインドネシア人の従業員が工場を運営していたが、同27日には原料が底を付いたため生産活動を停止した。日本人幹部は従業員に「中国やフィリピンの生産体制を強化するため」と説明し、5月から段階的に生産機械を搬出。撤退準備を進めていたとみられる。
 バタム地域管理庁(BPK)のエカ・ハルタワン広報部長は「SCIから破産手続きの知らせは受けていない。現在、調査を進めている」と話す。破産申請せず、夜逃げ同然の撤退として従業員は補償を要求。7月時点で523人の正社員と209人の契約社員がいるという。
 SCI労組幹部のスグン氏(34)はじゃかるた新聞の取材に対し、7月分の給料とレバラン(断食開大祭)賞与が未払いとなっていると説明。本社にメールを送信したが、応答はないという。
 労組はインドネシア金属労連(FSPMI)と協力し、バタム市議会前で連日デモを実施。SCI幹部との仲裁を要請しているが、市議会は「経営側と連絡を取ったが、約束した協議には欠席した。再度日程を調整する」としている。
 SCI労組は太陽光機に対し、レバラン賞与などの支払い、撤退した理由、工場の操業再開の見込みなどについて説明を求めている。従業員によると、業績は順調で倒産の兆候はなかったという。また労働法で定められた1カ月前の解雇通知が順守されず、「正式な解雇通知が無ければ失業手当も受け取れない」としている。
 SCIのルディ・ハルトノ・ゼネラルマネジャーは「私も被害者の1人」と話し、日本人駐在員以外、撤退は知らされていなかったと強調。未払いの給与や退職金などで、従業員に対しては合計約250億ルピアの支払い義務が生じるとした。
 太陽光機の担当者は「現時点で、インドネシア工場に関する回答は控えたい」としている。同社のホームページからは既にインドネシア工場の情報は削除されている。

■「日イ関係に影響も」
 バタム・インドネシア・フリーゾーン管理庁(BIFZA)の報道官は、SCIが従業員の補償問題に対応するなら、警察に告発しないとの方針を示している。BIFZAの木下一アドバイザーは「太陽光機は状況を確認し、対応策を検討してほしい。賃金未払いが本当であれば、日イ両国の経済関係に悪影響が及ぶ。インドネシアの日本に対する信頼失墜に繋がりかねない」と対応を求めている。
 SCIについて、国会第10委員会(教育、観光、スポーツ)のサダル・スバギョ議員(グリンドラ党)は「企業が撤退あるいは倒産する際は、法的手続きに沿って従業員に対応する必要がある」と強調。地方政府が企業の業績を厳しく監査すべきだと訴えた。
 バタム島は自由貿易地域(FTZ)に指定されており、付加価値税や奢侈品販売税、輸入関税などが免除となる優遇措置が定められている。さらにシンガポールに隣接する立地条件から多くの国内外企業が工場を持つ。13年時点で約60社の日系企業が進出しているが、進出件数は横ばいとなっている。
 バタムの地元メディアや国営アンタラ通信などは連日、SCI従業員のデモや工場前で待機する様子などを報じている。バタム日本人会の太田賢次会長は「バタム島の他の日系企業への影響が心配だ」と語った。(小塩航大)

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