「過大評価の調整」「上昇の潮目変化」 海外投資家の利食いで下落の株価 米金融緩和縮小の観測受け

 米連邦準備理事会(FRB)が続けてきた大規模な金融緩和が縮小されるとの観測が広がったことで、インドネシア証券取引所(IDX)の総合株価指数(IHSG)が下落している。専門家はここ1、2年、インドネシア株が過大評価されていたことに加え、燃料値上げに対する懸念からの調整と指摘。約3年続いてきた株価上昇の潮目が変わるとの見方も出ている。

 FRBのバーナンキ議長が5月22日(現地時間)、これまで続けてきた金融緩和について縮小の可能性を示唆、日経平均株価の下げ幅が1000円を超え、アジアの新興国各国も全面安になった。金融緩和であふれてアジアの新興国に流れ込んでいたお金が「逆流」したためだ。
 IHSGは5月30〜6月3日に3日営業日連続で下げた後、4日は反発し、1.01ポイント高の5021.61で終えた。IHSGは3年以上、上昇傾向が続いており、今年の4月下旬に初めて5000を突破、5月20日には最高値の5214.98をつけ、今年だけで20%以上、上昇している。
 経済紙コンタンは3日付1面トップで外国人投資家が利食い売りに走り、株価が下がっているが国内投資家が買い支えているとの記事を掲載。「経済成長率の上昇やインドネシア国債の格上げなど、ポジティブな要素が発生するまで利食いは続く」というアナリストの分析を載せた。
 足元の最大の懸念材料は燃料補助金の削減。12年予算で燃料補助金は政府支出の2割を占め財政圧迫の要因としてインドネシア経済の大きな不安材料になっている。昨年3月には連立与党造反により法案可決寸前で挫折、市場の信頼が揺らいだ。今月下旬に可決し、実施する見込みだが、昨年よりインフレ率は上昇しており、政府はインフレ抑制や利上げなど難しい舵取りを迫られる上、値上げに反対するデモ隊による混乱など不安要素はつきない。
 12年の実質経済成長率が6.25%と政府目標の6.5%を下回ったことや経常収支悪化によるルピア安、外貨準備高の急減も大きな懸念材料になっている。
 邦銀関係者の一人は「今回の株安は過大評価されていた株価指数の一時的な調整。インドネシア経済は依然『有望な投資先』とみられており、再び上昇に転じるだろう」と楽観視する。別の市場関係者も同様の認識を示したが、「米国が金融緩和縮小後に利上げに踏み切ると株価が長期的な下降に向かう」との見解を示した。
 三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店の林哲久・副支店長は「FRBの金融緩和縮小をきっかけに、下降トレンドに転じる可能性も否定できない」として、政府が燃料値上げ対策に失敗し、他の懸念材料も一気に噴出することへの警戒感を示した。(堀之内健史)

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