賠償金遅延に怒り シドアルジョ泥噴出7年 今も白煙もくもく

 東ジャワ州シドアルジョ県ポロン郡のガス採掘ラピンド・ブランタスが開発する天然ガス試掘現場で発生した泥噴出事故から、29日で7年が経過した。噴出は現在でも続いており、29日、被害者は賠償金の未払い分の支払いを求め、デモを実施した。参加者は、ラピンドをグループ傘下に置くアブリザル・バクリー・ゴルカル党党首に改めて責任を果たすよう訴えた。
 デモに参加した約400人は29日早朝、事故現場近くのアルンアルンプロン公園に集合。スラバヤとシドアルジョを結ぶポロン通りを行進し、噴出現場に到着した。遠くに20メートルほどの白煙が吹き出すのが見える。
 泥の噴出は現在も続いている。堤防からさらに奥へ進み、噴出口から約350メートルの地点の泥は人肌ほどの温度。大通り近くの堤防から見下ろすと、足下から約3メートルまで迫っている。少しずつ増えているだけでなく、またいつ大規模な噴出があるのか分からない状態という。
 デモ隊はバクリー氏批判一色。泥噴出が止まらない事故現場の上でも、大金の入ったかばんを手放さないバクリー氏を模したオゴオゴ(張りぼて人形)を担いで気勢を上げた。
 ラピンド事故被害者会会長のアブドゥル・ロヒムさん(45)は「私はコメ農家だったが、泥噴出で水田と妻が勤めていた工場が沈み、失業した。私と同じような境遇の被災者に対し、バクリーは何も救済策を出さず、賠償金もきちんと払わない」と怒りをあらわにした。
 来年の大統領選挙で、ゴルカル党からバクリー氏の出馬が濃厚になっていることについては「仮に賠償金を払ったとしても絶対に許さない。自分がしたことの責任をとれない人間を大統領にしてはいけない」と語気を強めた。
 二児の母のムリヤニさん(42)は「1カ月500万ルピアの賠償金が支払われるという約束だった。でもこの1年支払いが滞って、未払金は計7500万ルピア。子どもも学校にやれないし、どうやってこれから食べてけばいいの」と嘆く。
 ラピンドは、2007年の大統領令で3兆9千億ルピアの賠償金支払いが規定されたが、現在まで7860億ルピアが未払いのままで、今年11月までに完済するとしている。政府はシドアルジョ泥噴出対策庁(BPLS)を設置し、噴出現場の調査、泥排出、堤防補強工事などを継続している。(東ジャワ州シドアルジョ=赤井俊文、写真も)

◇泥噴出事故
 2006年5月29日、シドアルジョ県ポロン郡で試掘していたラピンド・ブランタスの採掘現場から泥が噴出し、周辺住宅地、耕作地、商業地など3町11村にまたがる約800ヘクタールに流出。2381世帯の約9千人が直接被害を受け、約4万人が避難した。スラバヤやマランなど近郊都市を結ぶ幹線道路も埋もれ、東ジャワ広域の交通、物流がまひした。急きょ造設された堤防が崩壊、泥水が貯泥池付近の鉄道線路に流入するなど事故が続発。一方で高速道路が完成するなど迂回路整備は進んでいるが、泥噴出は依然続いており、引き続き対策が求められている。

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